2020.04.28
研究者と経営者―。立場は違えど、無私の心で、未来を見据えている2人。話が深まるにつれ、共通点が見えてきた。
2020年2月14日、トヨタ自動車東京本社の社長室。前年にノーベル化学賞を受賞した旭化成・名誉フェローの吉野彰氏とトヨタ自動車社長の豊田章男が顔を合わせた。
2人が初めて出会ったのは、その2カ月ほど前。新幹線を降りた豊田が、乗りこもうとしていた吉野氏に遭遇し、短いあいさつを交わした。実は、吉野氏にとって豊田は「ノーベル賞をいただく前からずっとお会いしたいと思っていた」相手。豊田も吉野氏が雑誌のインタビューで自分の名前を挙げていたことを耳にしており、互いに不思議な縁を感じる出会いとなった。
そんな巡りあわせもあって対談が実現。話題はノーベル賞の裏話から、2人の若かりし頃のエピソードにも発展。ほぼ初対面ながら、対談は当初予定を大幅に過ぎ、1時間半に及んだ。
研究者と経営者―。立場は違えど、共通するのは「無私の心で、未来を見据えている者同士」であるということ。前後編の2回にわたってお届けする。