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2020.06.27

「かけがえのない一日」 ~実話で伝える販売店の物語~

2020.06.27

トヨタのぶれない軸を伝えてきた広告「かけがえのない一台」。新たな願いを込めて、トヨタは再び進んでいく。

「ありがとうございます。今日もまたかけがえのない一日でありますように。豊田章男」

6月27日の朝刊。全国の新聞にトヨタの一面広告が載った。そこにはトヨタ販売店の看板と、「ありがとうございます」からはじまる豊田章男の直筆メッセージが載っている。

「かけがえのない一日」。この言葉に豊田の想いが込められていた。

トヨタのお客様第一を表現した「かけがえのない一台」

この新聞企画のルーツは半世紀前の1969年にある。当時、トヨタ自動車工業、トヨタ自動車販売、トヨタ自動車販売店協会が連名で出した広告にはこんなメッセージがあった。

お客さまにとって、かけがえのない一台――。
きょうも、トヨタマン一人一人がこの言葉をかみしめながら
さらによい車をつくり、お届けしようと頑張っております

1969年10月6日 日本経済新聞掲載


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「かけがえのない一台」はシリーズ企画としてカ月間にわたって連載された。トヨタのセールスマン、新型車の開発者、テストドライバー、生産現場の工長や設備の保全員など、トヨタで働くさまざまな従業員が「お客様第一」に徹して仕事に向き合うようすを全12回の記事と写真で取り上げている。

シリーズの最終回には、トヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)の会長・石田退三と松下電器産業(現パナソニック)の会長・松下幸之助氏(役職はいずれも当時のもの)が「お客様の声を聞くことの大切さ」について語り合う対談も掲載され、「お客様第一」に愚直に取り組む、真面目な企業像を打ち出している。

「ぶれない軸」に立ち返るためのリメーク

それから約40年がたった2007年、この広告がリメークされる。1969年の初代シリーズでは、クルマをつくる側の話が多く盛り込まれていた。しかし、2007年のリメーク版では、販売店のスタッフが主役となっている。

お客さまにとってかけがえのない一台であり続けたいという私たち一人一人の想いは、
いつの時代も変わることはありません

毎回、この言葉を添えて、お客様との間で実際に起きたエピソードを販売店スタッフ本人の写真とともに紹介している。

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この広告を宣伝部とともにつくったのが、当時、国内営業を担当していた豊田章男副社長だった。2007年に始まったこのシリーズも、2009年末まで約年間、全15回にわたって続いている。

2009年10月、豊田は日本記者クラブの昼食会で、この広告にまつわる、こんなエピソードを披露している。

<豊田社長>

この広告は、40年前の1969年に実施したもののリメーク版でございます。

コピーも全く同じものに感じられると思います。

この広告は、私たちが販売店の意見を聞いて回った時に、ある販売店の社長さんから「昔、トヨタはこういう広告をやっていたぞ」ということで見せてもらいました。その社長は、「最近トヨタは、こういう気持ちを忘れていないか」と言いたかったのだと思います。

700万台売っても、800万台売っても、大事なのは一人一人のお客様であることを、我々は忘れてはいけない。これが私の経営哲学といっていいと思います。

2009年は前年に起きたリーマンショックの影響をもろに受けていた時期であり、社長就任直前の決算ではトヨタが初めて赤字に転落していた。

広告を出しはじめたのは、まだ右肩上がりに販売台数を増やしていた時期ではあったものの、豊田は当時から目の前の一人一人のお客様を大切にするトヨタの「ぶれない軸」を見つめなおす必要性を感じていた。

そんな豊田の社長就任後、トヨタはこの軸を守りながら、赤字からの復活を目指すことになる。

また、広告の企画書には、企業イメージの向上だけでなく、「フロントラインのスタッフもうれしいと思うような宣伝」、「お客様に接しやすく、販売という仕事によりプライドが持てるような宣伝」にするよう豊田から指示があったことについても記載があった。

2007年は、産地・賞味期限・原材料などを偽った「食品偽装」が社会問題化した年であり、世間の企業に対する不信感が高まっていたころ。販売の最前線でお客様と向き合い、トヨタの信用を守ってくれている販売店スタッフを鼓舞したいという想いもあったのだろう。

新たな願いを込めた「かけがえのない一日」

それから13年。最初の広告から半世紀がたち、「かけがえのない一台」は「かけがえのない一日」として復活する。過去2度の広告を出したころから、自動車を取り巻く環境は大きく変化している。クルマは所有するのが当たり前だった時代から、一人一人の生活スタイルに合わせて、シェアリングやサブスクリプションによる利活用も拡大している。

今回の広告の第回は、販売店のあるそれぞれの町の「かけがえのない一日」のためにトヨタがどう向き合うかを誓う宣言編となっているが、第回以降は、お客様からトヨタに寄せられた販売店スタッフとの実話を紹介していく。

販売台数を増やすためでも、他店を成績で上回るためでもなく、目の前のたった一人のお客様に寄り添った販売店スタッフの物語から、トヨタが大切にしたい価値観を伝えていく。

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広告の中でたびたび繰り返される「幸せ」という言葉について、豊田は今年月の決算説明会でこのように述べている。

<豊田社長>

トヨタは、日本で生まれ、世界で育った「グローバルなモノづくり企業」です。

私たちの使命は、世界中の人たちが幸せになるモノやサービスを提供すること、「幸せを量産すること」だと思っております。

そのために必要なことは、世界中で、自分以外の誰かの幸せを願い、行動することができるトヨタパーソンを育てることだと思います。

私流に言えば「YOUの視点」をもった人財を育てるということです。これが、ウィズコロナ、アフターコロナの時代に向けて、私自身が全身全霊をかけて取り組むことだと思っております。

地域のお客様に向き合い、お客様の幸せに向き合ってきたのがトヨタの販売店である。

トヨタが大切にしてきた「かけがえのない一台」というぶれない軸は、クルマを通じてだけでなく、地域のかけがえのない毎日や人生をつくるお手伝いをしたいという願いを込めて、再びスタートを切る。

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