コラム
2021.10.27
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半世紀以上のロングセラー、カローラを時代背景とともに振り返る

2021.10.27

発売から55周年を迎えたカローラ。誕生当時の時代背景やロングセラー商品を振り返り、進化の軌跡をたどってみた。

発売から55周年を迎え、多くの人に長く愛されながら累計販売台数5000万台を超えたカローラ。初代カローラ誕生当時の1966年は、高度成長期の最盛期で、これまでの生活にはなかった新しいものが次々誕生し、消費動向が活発になっていった時代だ。

当時から長い年月を経て進化してきたロングセラーは多い。カローラも、その時代のお客様のニーズに合うように、ボディスタイルにとらわれない多種多様なモデルを発表し、常に大衆車としての役割を担ってきた。

カローラのように、時代が生んだロングセラーを振り返りながら、当時のニーズやその後の進化をあらためてたどってみた。

カローラが生まれた1966年はどんな時代?

カローラが誕生した1966年は、戦後からの復興や高度経済成長による好景気の時代。日本の総人口が1億人を超え、労働者の権利意識が高まり、戦後最大の公共交通機関によるストライキが行なわれたのも同年のこと。

また、ビートルズが初めて来日し、モッズルックやロングブーツやミニスカートといった世界的な流行が日本にもたらされた。1966年の発売以来、現在に至るまで愛され続けるロングセラーとしては、ポッキーやサッポロ一番、柿の種、SBゴールドカレーなどのおなじみの商品がある。

高度成長期に社会的使命感を持って生まれた「カローラ」

国が提唱する大衆車の生産計画「国民車構想」を背景に、トヨタは1950年代後半から大衆車の必要性を感じていた。

以前、トヨタイムズがカローラの取材をした際に、カローラとの思い出を聞く場面があった。初代カローラ開発のきっかけは、創業者の豊田喜一郎が、労働争議の頃に初代カローラの開発責任者を務めた長谷川龍雄に、「大衆車を作ったらどうか」と提言したことだという。

その話を聞いた社長の豊田は、初代カローラのターゲットユーザーが「短大卒の女学生」とされていたエピソードを紹介している。

豊田社長がカローラについて語る動画

トヨタは、シンプルな構造と高い生産性で低価格を実現したパブリカを1961年に発売した。その後、人々のニーズを踏襲しながら技術改良を経て、1966年に初代カローラをリリースするに至る。

カローラは“大衆車”としての性能、品質、経済性、快適性などの要件をバランスよく満たし、時代に即した社会的使命をもって、生まれるべくして誕生したのだ。

当時の実用車としては贅沢なアルミ製ヘッドを採用するほか、大胆な赤いシート地を備えるなど、若者の心を捉えた演出でたちまち人気となった。

長谷川氏がカローラに込めたコンセプトは、「80点主義+α」。トータルバランスに優れ、さらに90点以上の突出した性能も持ち合わせていることを目指した言葉だ。その結果、長く乗り続けることができる、実用車作りの神髄を表わした言葉でもある。

「+α」に込められたのは、スポーティー性。「曲面ガラス」を採用するほか、高速走行でのハイパフォーマンスのために、5ベアリングのエンジンを採用するなど、エクステリアにも性能にもスポーティー性を追求した。

マイカーとともに人々の憧れの象徴となった、カラーテレビ、クーラー

一方で、好景気を機に爆発的な家電ブームが起こる。カローラ誕生当時の「新三種の神器」に数えられたのは、クルマ以外に、カラーテレビやクーラーであった。いずれも豊かになりゆく人々の生活に普及しながら、進化していった。

日本初のカラーテレビ受像機は、東芝の「21D-21WE」(1960年)。東芝は、白黒テレビ誕生前の1950年から開発に着手し、日本初のカラーテレビ受像機の開発に成功した。

画像提供:東芝未来科学館

カラーテレビは、1964年の東京オリンピックを機に宣伝が活発化。カラー放送が増えるにつれて、人々の生活に欠かせないものとなっていく。

やがて時代を経て、音声多重放送やハイビジョン対応のテレビへ、2003年からは地デジ化され、ブラウン管型から液晶やプラズマディスプレイ搭載の薄型テレビへと進化していった。

同時に、液晶にはLEDバックライトが採用されるなど、省エネ性能も大幅に向上していく。

左から:ソニー 「4K有機ELテレビ ブラビア®XRJ-83A90J(83V型)」、東芝テレビ「タイムシフトマシン4K有機EL液晶レグザ 65X9400S」、パナソニック「4K有機ELテレビ ビエラTH-65JZ2000」

また、クーラーに関しては、1952年頃から空気整調機として国内での量産が本格化。日本の気候風土から冷房の必要性が高まり、空調はぜいたく品から健康と生活力向上のための必需品となっていった。

カローラが誕生した1966年頃からクーラーは「ルームエアコン」と呼ばれるようになり、一般家庭で急速に普及し始めた。

1974年頃からは、エアコンに省エネ機能が取り入れられるようになる。現在では、カーボンニュートラルの達成に向けて、省エネ意識はより向上。AI自動運転制御や室内機内部を清潔に保つクリーン機能などの組み合わせにより、各メーカーで省エネ性能が高められている。

左上から時計まわりに:ダイキン「うるさらX」Rシリーズ、三菱電機 「霧ヶ峰」FZシリーズ、日立ルームエアコン「白くまくん」Xシリーズ

歴代カローラの期待を超えた挑戦と進化

話をカローラに戻そう。1966年の誕生以来、カローラは世界中のユーザーの期待や時代のニーズを超える「+α」の思想を基に、常に進化と挑戦を重ねてきた。

現在、カローラは世界150の国や地域を超えるユーザーに愛され、2021年にはグローバル累計販売台数5000万台を達成。

誕生から55年、ロングセラーとなった歴代カローラの思いはひとつ。いつの時代もより多くの人が、クルマと豊かな時間を過ごせるように、お手頃価格で最新の機能を広め、新しい価値を提供していくことだ。

そんなカローラシリーズに、これからの時代に求められる機能・性能を凝縮したカローラ初のSUVが加わった。

SUVならではの高いユーティリティとカローラの魅力を掛け合わせた新型車カローラクロスだ。

時代とともに変わりゆくお客様のライフスタイルにお応えできるよう、カローラはこれからも、人々の期待値の一歩先を目指しながら、進化し続けていく。

(編集・庄司 真美)

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