トヨタのコラム
2022.05.19

カレーに持続可能性!?豊田社長と料理長の、ひと皿への想い

2022.05.19

5月6日、TBS系列のテレビ番組THE TIME,で「トヨタのSDGsに配慮したカレー」が紹介された。

試食をした若狭アナウンサーは「野菜のうま味も、スパイシーさも感じる。人間にも地球にもやさしいSDGsのカレー」とコメント。社会に役立つ持続可能なカレーとは、一体どのようなものなのか。トヨタイムズでもレシピの開発現場を取材した。

社長オーダーに、3つの答えを盛り込んだシェフ

愛知県蒲郡市にあるトヨタグループの研修施設KIZUNA。その食堂のシェフが開発したトヨタのSDGsカレー。かつて高級ホテルでも腕を振るっていた料理長の原さんによると、実はこのSDGsカレー、豊田社長の発案で生まれたという。

豊田社長はカレーが好物で、ニュルブルクリンク24時間レースの初参戦時も、大量にレトルトカレーを持参。毎日のように食べていたので、ヘルメットの中がカレーのにおいで充満していたというエピソードもあるそうだ。

そんな豊田社長の「健康的で家庭的なホッと落ち着けるカレーを」というオーダーに対し、原さんは半年以上も試行錯誤し、SDGsの要素をいくつも盛り込んで開発を進めた。

「地産地消によるCO2削減」「廃棄素材を活かしフードロス削減」「健康への配慮」。この3つを意識したそうだ。

原料理長

地元野菜を中心に使用しています。生産地と消費地の距離(フード・マイレージ)を短くすることで、輸送時に排出される二酸化炭素を大幅に削減できます。

またカレーの出汁は、肉から取ることが多いのですが、通常の調理では捨てられる野菜の皮・ヘタ・芯からブイヨンをつくって野菜のうまみを抽出しています。

フードロスは、現代社会の大きな課題である。世界で捨てられる食料は年間約13億トンともいわれている。大切に育てられた食料のなんと3分の1もが、ゴミとして捨てられているのだ。

野菜の切れ端やくずは、そのまま捨ててしまうことが多いが、実はこれらの箇所には栄養素が豊富に含まれている。

皮は外の刺激から体を守り、ヘタは成長の要にあたる部分。重要な役割を持っているため様々な栄養分が詰まっていて、近年、野菜のくずでつくる栄養たっぷりの出汁“べジブロス”に注目が集まっている。

原料理長

玉ねぎ、人参、セロリなどの香味野菜は、皮や芯を弱火で煮込めばすごくおいしいブイヨンができるんです。この部分こそが“うま味”ですよ。

また今回のカレーでは、野菜だけでなく、肉にもSDGsへのこだわりがあります。地元のブランド豚“秀麗豚(しゅうれいとん)”で地産地消に貢献しつつ、使用部位もバラ肉ではなく脂肪を抑えられる赤身のモモ肉を使用。野菜も肉も、ヘルシーであることにこだわりました。

CO2やフードロスを削減、それでいてヘルシーでおいしいカレーはこのように試行錯誤を重ねて開発されたのだ。

永遠に完成しないカレー?

そして意外だったのが、「味は毎回、同じではない」という。理由は、肉ではなく野菜から出汁を取っているので、季節の旬の野菜や、その時に余った野菜の種類に影響されるからだ。

出汁を味見して、その都度、最適なスパイスを調合する。その時その時に、素材のうま味がしっかり引き出されたカレーが生まれていくという。

しかし、調理長の原さんは「これが完成形ではない」という。豊田社長に何度も試食を繰り返してもらい、都度「料理のキャッチボールをしている」と笑顔で話してくれた。トヨタには、“改善後は改善前”、改善に終わりはないという考えあるが、調理の現場にもその考えは息づいていたのだ。

これからの時代は、ただおいしいだけでなく、フードロスに向き合うなど、社会に配慮された料理こそが“美食”なのかもしれない。

大人から子どもまで、いつの時代も多くの人に愛されるカレーだからこそ、ヘルシーで社会貢献につながるレシピならば、世の中の役に立てる。そしてこのカレー、ついに市販化も決定したという。

今日も、料理長は調理場でたくさんの野菜と向き合いながら改善に取り組んでいる。カレーのおいしそうな香りを漂わせながら。

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