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2024.06.27
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持続的な成長と還元、これからもトヨタらしく

2024.06.27

トヨタは利益をどのように還元していくのか。成長のビジョンは? 株主の疑問にChief Financial Officer(最高財務責任者)も務める宮崎洋一 取締役副社長が応答した。

トヨタイムズがお送りしている2024年の株主総会特集。今回は利益還元に関する株主とのやり取りを、宮崎洋一 取締役副社長のコメントを中心に取り上げる。

語られたのは、豊田章男会長から継承した経営基盤、そして自動車産業をさらに魅力ある産業へと進化させていく決意だった。

トヨタは一人勝ちか?

株主総会からさかのぼること1カ月、トヨタは2024年3月期の決算発表で、営業利益53,529億円と発表した。これは、円安影響と言われる風向きもあったが、ステークホルダーとともに築いてきた、商品と地域を軸とした経営があったからこそ。

株主からは、この利益をどのようにステークホルダーに還元していくのか、という声が寄せられた。

宮崎 副社長

トヨタは商品と地域を軸とした経営を通じて、幸せの量産を図りながら、事業基盤の強化を進めております。

私事となりますけれども、現在の役割を拝命する直前までは、海外事業を長く担当させていただき、アジア本部長として現地に駐在しておりました。その間、コロナ禍や半導体不足、自然災害と厳しい環境の中でも、仕入先の皆様や販売店、そして地域社会の皆様と支え合い、助け合いながら乗り越える経験をしてきました。

こうした各国・各地域での「『ありがとう』と言い合える関係」とともに、世界でトヨタ車をご愛顧いただいております1億人のお客様、そして100万人にまで増えました株主の皆様の長きにわたるご声援のおかげで、今日まで当社は持続的に成長できたと思っております。

この間に当社の連結従業員は6万人増えております。日本の平均年収に換算しますと、年間で3,000億円ほどの新たな還元を生むことができました。当社株に対する評価も上げていただき、現在50兆円近い時価総額となっております。改めて皆様のご支援に深く感謝申し上げます。

ご指摘いただきました通り、先期の連結業績は、売上が45兆円、当期利益が5兆円でしたので、その差額の40兆円は、仕入先の皆様への部品代、設備代としてお支払いした金額、従業員への還元、納税という形で国や地域へ還元したものが主なものとなっています。さらには当期利益を原資として、株主の皆様への配当につながっています。

自動車産業は大変裾野が広い産業と言われておりまして、その経済波及効果は2.5倍と言われております。最終的に100兆円近い経済波及効果に貢献できたと我々は考えております。また、日本のGDP(国内総生産)が低迷を続ける中、トヨタの還元額は(過去20年間で)3倍にまで伸びてきております。

トヨタが頑張り、成長していくことで、支えていただく多くの皆様に還元、恩返しができ、母国日本がもっと元気になったら大変嬉しく思います。

この15年間、商品が変わる現場を信じて任せていただき、その都度メンバーが笑顔と自信を取り戻し、成長していく海外の仲間を見てまいりました。

足元の認証問題に対しましても、全従業員、心を一つに、結果でお示しできるよう取り組んでまいりたいと思っております。これまでの15年間同様、さらに長い目でお付き合いいただき、「トヨタを応援して良かった」と言っていただけるように、トヨタらしい成長と還元を目指していきます。引き続きの応援をどうぞよろしくお願い申し上げます。

ここで宮崎副社長が語る「15年間」は、ほぼ豊田会長の社長在任期間(2009年~2023年)と重なる。

宮崎副社長は、その間に自身が現地現物で得た経験、さらには雇用や納税、経済波及効果といった数字も交えて株主の疑問に応えた。

好業績を発表すると、トヨタはしばしば“一人勝ち”と言われる。実際、今回も株主から「『一人勝ちじゃないか』といった声もある決算結果」という発言があった。

だが、トヨタにとって“勝ち”とは、生み出した利益を自動車産業、ひいては各国・各地域へ還元してこそ果たされる。

かつて豊田会長(当時社長)が、やはり株主総会の場で語った次の言葉を紹介したい。トヨタだけが儲かって、仕入先・販売店が不満を持っているのでは? という質問に対して応えたシーンだ。

豊田社長(当時)

“一人勝ち”という言葉を耳にしましたが、ひとりも勝たなかったら、この国は一体どうなるのでしょうか?

そして、ひとり勝ったその会社が、その“勝ち”を何に使うのでしょうか?

私は、今のトヨタは、自分のためではなく、世の中のため、トヨタを普段から応援いただいている方々のために、この強さを使える会社に生まれ変わってきていると思っています。

ひとりでも勝たないと、このインダストリー(産業)は支えられないし、この国も支えられないと思います。

トヨタが目指している“この町いちばんの工場”も支えることができません。

2020年の株主総会より)

宮崎副社長が今回強調したことも、トヨタがさまざまなステークホルダーと支え合いながら成長してきたこと、そして、その経済・社会的に果たす役割の大きさに理解を求めるものだった。

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