特集
2021.02.24

トヨタ春交渉2021 #1 分かったつもりになっていたトヨタ

2021.02.24

販売店の現場を、理解できているか

国内販売事業本部では、今年の1月から86名が全国の販売店に赴任している。仕入先への出向と同じく、外の視点に立つことで気づかされることが多い。

ここでも、出向しているメンバーの声が組合側から紹介された。

「トヨタにいたときはなぜこんなに(販売店からの)問合せが多いのか?と思っていたが、販売店は厳選したものだけを問合せしていた」

「問合せ先が分からず、担当者へなかなか繋がらないで、問合せることを諦める方もいた」

トヨタと販売店では、“1人が担当する領域”が違っていたという声もあった。

「お客様から担当外の相談を受けたが答えられなかった。販売店では膨大な範囲を1人で担当している。(担当が)細分化されたトヨタと違い、もっと担当外の業務にも関心を持ち、理解する努力が足りていなかった」

これらは一例だが、他にも、今までトヨタが、現場視点・お客様第一とうたい、“良かれと思って”取り組んだものが販売現場のニーズと合致しておらず、販売現場やお客様への不満につながっているケースも多々経験できたという。

メーカーが展開する取り組みが“販売現場の実態に即していない”ということは、今に始まった話ではない。豊田社長も以前は国内販売店を担当する仕事をしていたため、その実態を認識していた。それもあり、数年前から国内販売事業の幹部には、改善の策を求めていたという。

長田執行役員(国内販売事業担当)

全国一律ではなく、地域ごとや或いは店舗ごとに最適化された販売活動をしなければ競争力を失うと社長から言われていました。

しかし、メーカーと各販売店の本部での議論に時間を費やしてしまい、本当に現場が必要としていること、困っていることに、気付けておらず、結果、実行に2年の歳月をかけてしまいました。

大きな反省があり、これからは現場をサポートできる仕事のやり方に変えていかないといけないと思っています。

そして販売店のもう一つの重要な機能である「サービス」についても、品質を担当するカスタマーファースト推進本部の宮本本部長から話が出た。

宮本本部長

日本には7,700万台の(自動車の)保有があります。それを、550万人のうちの40万人が整備事業に従事して支えています。

この緊急事態宣言において、整備事業は止めてはならない事業に指定されています。

販売店で修理されている方は毎日プレッシャーの中、なかなか出勤はできないけれども、お客様のご用命はたくさんくる。

こういうときだからこそ、車検を早くやってほしい、今すぐ直してほしいと言われており、本当に毎日苦労をおかけしています。

あるときは、営業スタッフも含めた店舗全員を集めて手伝ってもらったり、夜までかかって対応しているという話も聞いています。

そんな中で、大変申し訳ないことに、我々はリコール作業もお願いしています。これが実情です。今日、労使の間で共有しておくべきだと思いました。

こういう人たちのために、もっとできることはないのか。もっと整備を楽にし、効率を上げるにはどうするか。いいツールはないのか。あるいは、リコールをお願いしなくて済むクルマとするためにどうするか。

しかし、販売店からは「トヨタからは、困ったときにすぐフェイスシールドをいただいた」「タクシーのドライバーが困っているときには、すぐに間仕切りをつくっていただいた」「こんな感謝はありません」と、逆に感謝をされました。

私はすごく感激をいたしました。この550万人の中の40万人の人たちのために、我々はもっと努力して労使互いにできることを議論していきたいと思っております。

話し合いの最後に議長の河合から、今後の話し合いの方針が語られる。

河合議長

本日は積極的なご意見、ありがとうございました。

仕入先での気づき、経験、生の声、困りごとを聞かせていただくなど、550万人を考えた話し合いになったと思います。

こういう話し合いを進めていきたいと思います。

我々が今、こうして仕事ができているのも、販売店、仕入先、そして550万人の皆さんのおかげです。感謝を忘れないでほしいと思います。

これからなすべきことは、550万人の仲間の幸せを考え、一緒になって競争力を高めていくことだと思います。

我々が「仲間のために」と思っているだけではダメで、仲間が「トヨタは自分たちのことを考えて頑張ってくれている」「トヨタの人たちはいい人たちだね」と感じてくれることが大切だと思っております。

こういった取り組みを通じて、販売店、仕入先、そして550万人の仲間から「ありがとう」と言ってもらえる関係づくりに加え、我々自身の働き方を変え、成長につなげていきたいと思います。

続いて組合からも、今回の話し合いで得た学びを各職場で活かすこと。そして次回は、550万人の仲間とともに前へ進むために、組合員一人ひとりの能力の最大発揮を阻害する課題について話し合いを行うことが示された。

【組合・西野委員長】

本日は仕入先、販売店の現場で仕事をさせていただいたメンバーの気づきも踏まえ、改めて私たちが置かれている環境が当たり前ではないこと、また、これまでのトヨタの中からの視点では見えていなかったことについて議論させていただきました。

それぞれの職場でも本日の議論に通じることが多々あるはずです。

本当に「YOU」の視点に立てているか、関係先の皆さんのことを知ろうとしているのか、そして本音で話していただける関係になっているのか。

こういったことを、各職場で改めて見直していきたいと思います。

次回の労使協での議論について提案させていただきます。

550万人の方々に対して取り組むことについては、もう少し共有させていただきたいので、引き続きお願いいたします。

加えて冒頭でも申し上げましたが、我々をお支えいただいている皆さまのお役に立つため、また550万人の仲間から一緒に前に向かって進んでいこうと言っていただけるようにするためには、我々一人ひとりが自分の置かれた立場を再認識し、持てる能力を最大限発揮し、誰かのために仕えるようにならなければなりません。

現状、職場の声を吸い上げると、お客様のために、関連会社の皆様のために、一緒に働く職場の仲間のために、もっと頑張りたい思いを持ちながらも、やり切ることができず、悔しい思いをしながら業務にあたる組合員もいます。

このような人が、持てる力を最大限発揮し、働きがいと感謝の気持ちを持ち、誰かのお役に立てるよう、次回の労使協議会では一人ひとりの能力の最大発揮に向け、それを阻害する職場課題について、議論させていただきたいと思います。

次回の協議会は3月3日を予定している。

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