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2020.01.15

CES2020 豊田章男からのメッセージ【CES2020取材】

2020.01.15

アメリカで行われたCES2020。そこで発表された実証都市"Woven City"。このプロジェクトに込められた想いとは。

2020年1月6日現地時間13時、ラスベガスで行われたCES2020の会場で豊田社長は、未来の都市の実証都市「Woven City」のプロジェクト概要を発表した。

トヨタイムズでは、香川編集長の取材とともに、ライブ中継も実施した(香川編集長の取材結果は1月下旬に公開予定)。ライブ配信は英語のみであったが、今回、日本語字幕を付けた映像を作成したので、それを公開したい。そして、プレゼン終了後に行われた控え室でのインタビュー。そこで豊田が語った内容も合わせて読んでいただければと思う。

プレゼンテーションでも語っていた“ヒトが中心の未来”…それはデータだけではなく、実際に道の上で、自身が感じたことをクルマづくりに活かしてきた豊田だからこその、大切な想いである。

年初に公開した香川編集長との車中インタビューで語っていた「未来に選択肢を残したい」「この指とまれ」といった言葉も、このWoven Cityが念頭にあったから出た言葉であった。

<プレゼン終了後インタビュー>

質問者:発表内容を聞いて驚きました。

豊田2年前のCESでe-Paletteを発表し、その2年後に一体何を持ってくるんだろう?と思われていたと思います。

普通だったらe-Paletteの次期型を、「ここまでいいクルマになりました」と言って持ってくるとかかと思います。

しかし、その車の使い方、走らせる道、それによる街をつくりますというのを、今回は、発表させていただきました。

やっぱり未来をつくっていくのは、自動車会社だけ、ましてやトヨタだけではできません。色々なものがコネクトしていくためのプラットフォームが必要だと思っていました。

そこにはAIとかもあります。しかし、我々が忘れてはいけないものは、データとかに監視される世界にしてはいけないということ。そこのど真ん中にヒトがいて、ヒトがそのデータの使い道を決めて、ヒトが一番幸せになれると思う都市ってなんなのか?を考えていく。

そのためには未来の街というものが必要なんじゃないかと思い、今回、そういう街をつくることを決め、中小零細の企業も含め、出来るだけ多くの「一緒に未来をつくろうという気概を持った方」に集まってもらいたいというアナウンスをさせていただきました。

私は常々、クルマは道がつくると言っていますが、もっといいクルマをつくり、そのクルマとともに未来をつくっていくためには、やっぱり道というものが必要なんです。クルマの未来、もっといいクルマを考えた時に、絶対に失っちゃいけないものはやっぱり安心安全なんです。

安心安全と言うのは、車だけ良くしてもしょうがない。そう考えた時に、ヒトが歩く道、ヒトとモビリティが一緒に歩く道、もう一つは自動運転車両の道という、道を3つに分けると言う発想に行きつき…、この3つの道が縦糸と横糸のように編み込まれた街をつくるということで、Woven Cityというものになりました。

質問者:この街は未来に向けた様々な問題の解決策になるのではと思ったのですが…

豊田:そうなってくれればありがたいと思っています。

こういうプロジェクトは、誰でもやれそうで、実は、やれないものだと思っています。

そうした中で、トヨタがこういうことを「やる」ことにしたのですが、色んな人に「トヨタと一緒にこれやってみたい」とか「トヨタと一緒にこれやってみたら面白いじゃん」とか、そう思ってもらえれば、ありがたいと思います。

そして、そういう方々と一緒にリアルをつくっていきたいなと思います。

質問者:どんなゴールを見ているのですか?

豊田:どんな未来の姿を考えてますか?と良く聞かれるんですが、これは未来の話ですから、私がゴールを決める話じゃなくて、未来の人が、ゴールを決めればいいと思っています。

ですから、未来の人に手渡せるものとして、この街は未完成にしておきたいと思っています。

これからどんどん建設が進んでいくでしょうが、今、建っているものが常に最新であって、いつまでたっても未完成でありたいと思っています。

これこそがトヨタ生産方式の改善後は改善前という考えに結びつくので、そういう考えでやっていきたいと思っています。

Woven Cityイメージビデオ

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