水素エンジンカローラでS耐参戦中の佐々木雅弘選手が、モリゾウの運転の進化を語り尽くす。
11月17日に配信されたトヨタイムズ放送部に、レーシングドライバーの佐々木雅弘選手が生出演。「モリゾウの運転をもっとうまくする男」と紹介された佐々木選手は、水素エンジンの可能性に加え、豊田章男社長との関係についてのトークを展開した。
まずは今年5月より挑戦がスタートした、水素エンジンカローラでの『スーパー耐久シリーズ』初戦を振り返り、「レーシングスピードで走る水素エンジンは世界初、24時間走り切ったことがすごい」と話した。その後、急速に性能が進化したことについて、「データをフィードバックすることでエンジンパワーが上がっていった。進化のスピードと技術力、携わる方々の未来に対するワクワク感などが力となってタイムに現れた」と、モータースポーツの現場で開発を進める意義を語った。
また、クルマを進化させる上でのドライバーの役割について問われると、「運転して感じたことをエンジニアやメカニックに伝え、改善できることはしっかりとやってもらうことが重要」と、2級自動車整備士でもあり、今は新型車やタイヤの開発ドライバーをつとめる佐々木選手ならではの意見を述べた。
「水素エンジン車は音や振動などのインパクトは変わらず、従来のクルマと楽しさはなんら変わらない。出ないのは二酸化炭素だけ。カーボニュートラルに向けてクルマは電動化していくと思うが、水素エンジンはクルマ好きに与えてくれたチャンス」と、今後の水素エンジン車の可能性についても言及した。
冒頭で紹介されたように「モリゾウの運転をもっとうまくする男」と呼ばれる佐々木選手は、ドライバーである「モリソウ」こと豊田社長とは耐久レースのチームメイトであり、モリゾウ選手の運転技術の向上に深く関係している。
共に参加した「スーパー耐久レースin岡山」での取材映像では、走行後すぐにヒアリングをしたり、グラフデータを見せながら分析したりと、佐々木選手とモリゾウ選手との細やかなやり取りがうかがえた。現在、その超貴重映像のフルバージョン(約13分)がトヨタイムズのYouTubeチャンネルで公開されているのでぜひ見て欲しい。
「感覚ではなくデータ(数字)を見せることでよりイメージができる」と、モリゾウ選手と佐々木選手を比較したデータを紹介。「もともとプロではなかったモリゾウ選手が、このようなデータになるのはすごいこと」と感心する佐々木選手のもとに、「まるで、お医者さんが人間ドックを受ける患者に説明をするドクター」というモリゾウ選手からのコメントが届く一幕もあった。
「クルマからの入力(情報)をもらい、頭で理解して、体から手や足に対して出力(命令)をする。それに応えるクルマをしっかりつくるのがレースの流れ。クルマと対話をしなくてはいけない」と、モータースポーツを起点としたクルマづくりについても語った佐々木選手。さらに、豊田社長がマスタードライバーとしてのスキルが上がっているため、「今後、市販車に対するハードル(最終チェック)はかなり高くなる。それが、安心安全を担保したまま、乗っていて楽しいクルマづくりにつながっていく」と、今後のトヨタ車の進化にも太鼓判を押した。
スポーツカーのGR86の開発に携わる立場でもある佐々木選手は、「レーサーとして、開発者としての目標は?」という問いに、「乗った人が『クルマ好きがつくったクルマだ』と感じてもらえるようなものにしたい」と回答。「意のままに操れるクルマがあれば安全運転につながり、安心安全な世の中になる」と、モータースポーツの現場にいるからこその熱い想いを伝えた。
毎週水曜日12:00からYouTubeで生配信しているトヨタイムズ放送部。次回(2021年11月24日)は、ゲストにスケート部の寺尾悟監督が登場予定。ぜひ、お見逃しなく!