オートサロンにモリゾウが帰ってきた ~Morizo is Back~

2020.01.21

1/6米国ラスベガス、1/9愛知県豊田市の本社、そしてその翌日には、東京オートサロンの会場にモリゾウの姿があった。

16日(日本時間17日)に米ラスベガスでWoven Cityを語った"スーツ姿"の男は
19日には愛知県豊田市のトヨタ自動車本社で"作業着姿"で社員に熱く想いを語った。

そして、その翌日10日には東京オートサロンの会場に"レーシングチームのウェア"で現れる。GRヤリスのワールドプレミアで想いを語り、その後はトークセッションでマイクを握った。

更には、翌々日12日に、もう一度オートサロン会場に戻ってくる。
この日は、マイクだけではなく、“ヘルメット”を被ってハンドルも握っていた。

どう考えてもスケジュールがハード過ぎる。

Woven Cityを語るには、年初のCESが絶好の場である。
7万人いる社員に想いを届けるには年頭挨拶が一番適した場であるだろう。

しかし、東京オートサロンはカスタマイズカーやチューニングカーのお祭りである。
自身が主催団体の会長である東京モーターショーであれば、駆け付けないといけないということは理解できるが、なぜ、東京オートサロンに、そんなにまでして、現れるのか?

トヨタイムズは豊田章男本人に聞いてみた。

GAZOORacingの原点ともいえるオートサロンには、どうしても行きたい理由がありました。

成瀬さんとモリゾウがはじめたGAZOOという活動を、昔からオートサロンの皆さんは受け入れてくれたんです。

いわばオートサロンは、GAZOOの原点、モリゾウの故郷のような場所、そしてGAZOOをここまで育ててくれたのも、このオートサロンなんだと思います。

GAZOOの活動を続けてきて、ようやく我々は自分達の手でつくるスポーツカー「GRヤリス」を世に出せることになりました。

86、スープラとやってきたけど、まだまだヒトの手を(他社のチカラを)借りないとできなかった。だから、ずっと、自分たちの手でつくるスポーツカーが欲しかったんです。

じゃ、そのワールドプレミアを、いつどこでやろうとなった時、WRCの本場ヨーロッパのモーターショーなんかでやるという手もありました。
だけど、モリゾウとしてはGAZOOを育ててくれたオートサロンの場で、そこにいる皆さんに、最初にこれを見せたかった。それが礼儀だと思います。

で、やっぱり、その場には自分がいて、自分の言葉で、その想いを伝えたいなと思ってました。
それも礼儀。だから、こんなスケジュールになっても、今日ここにやってきた…。

でもね…、ここに来て、みんなの前で喋るでしょ、みんなも嬉しそうに聞いてくれるでしょ、
中にはね、涙を浮かべてくれるような人もいる。
そうすると、逆に元気になっていくような感じ。
僕にとっては、東京オートサロンって、そういう場所。

10日、12日の2日間、モリゾウが登場したシーンはいくつもある。
TOYOTA GAZOO RacingTGR)での出番は、全てTGRYouTubeチャンネルに収められている。

スポーツカーの話だけではない、Woven Cityの話もある、今年からはじめる新しい取り組みについても公表した。
長男の大輔氏についても話している。

トヨタイムズでは、その中でも、4つのシーン(映像)を詳しく紹介したい。
それぞれ、編集部として「見てほしいところ」を挙げるので、あわせて映像を見ていただきたい。

1.ROOKIE Racing体制発表会(54分26秒)

トヨタのもっといいクルマづくりの新しい取り組みとして、東京オートサロンの場でこの活動が発表になった。

MC2人(脇阪寿一、井澤エイミー)に促され、モリゾウをはじめとしたROOKIE Racingのメンバーが登場した。

登壇したのは、モリゾウ選手、小倉康宏選手、佐々木雅弘選手、豊田大輔選手、
井口卓人選手、蒲生尚弥選手、矢吹久選手、片岡龍也監督、北川文雄アドバイザー。

【見どころ】
04:00 
「ルーキーレーシングってなんなの?」を説明するモリゾウから語られた“マスタードライバー継承の話そして父親としての気持ち

モリゾウ
私、トヨタ自動車でマスタードライバーってやってるじゃないですか?
私の前任は成瀬さんでした。成瀬さんから私は引き継いできましたけど
私もそろそろ歳ですし、次のマスタードライバー育成に入らなきゃいけないっていうことを北川さんが考えてくれました。
そこで、小倉選手のチームに大輔(息子の豊田大輔選手)がはいった。
それで私は初めて、自分がレースに出たときに、レース参戦に反対しまくっていた私の父(名誉会長)の気持ちになれました。
ところが名誉会長と私がとった行動の違いは…

09:40
この活動を始める意味が語られた。

モリゾウ
言っときますけど、 これは(2018シーズン参戦車両は)会社のクルマじゃないですからね。
個人のクルマですからね。ところが結果は6戦中3戦で大破…。
そういう活動を通じてプライベートでレースに参戦する人たちの苦労がわかり始めた…

15:00
豊田大輔選手を次世代のマスタードライバー候補と考えていることについて…。

モリゾウ:
いろんなところで批判され続けながらもモリゾウっていうのは(クルマに)乗り続けてきたんですよ。
その姿を(ずっと)見てきたのも大輔なんですよね。
そういう姿を見ていた大輔はマスタードライバーの候補の一人ではあるだろうと思ってます。

16:30
父の言葉を聞いて、豊田大輔選手はどんな気持ちでクルマに乗ろうとしているのか…
自動運転のソフトをつくる会社に身を置く豊田大輔がなぜクルマを運転しようと思ったかを語った。
そこから話しが繋がりモリゾウも自動運転に対する想いを語り出す…

21:00
クルマのセッティングを巡り、4人のドライバーの中で自分だけがフィーリングが合わなかったと言うモリゾウ。
それがあったから、この活動をやろうと考えた…。
そして3人のドライバー新加入で、新しいクルマづくりに挑戦していくとモリゾウは語る。

モリゾウ:
こういうクルマづくりは大企業にはできない。
プライベーターでないとなかなか、こういうクルマづくりはできない…。

27:00
ROOKIE Racingはタイのレースに参戦していた。その意味とは?
モリゾウが期待するモータースポーツでのアジアとの連携とは?

32:00
モータースポーツ界を盛り上げていきたいと語るモリゾウ。
そのために、今のモータースポーツに必要なことを語った。

モリゾウ
メーカー同士の戦いも必要でしょう。でも、それ以前に、メーカーの枠を越えて、
モータースポーツをスポーツとして盛り上げていきたい。
ROOKIE Racingは、そのパイオニアでもありたい。
色んな意味で自分は影響力あると思ってますから…その影響力を
なかなか声が外に伝わらないような方々のために使いながら、
多くのモータースポーツファン、多くのクルマ好き、多くのバイク好きが
盛り上がっていけるよう力になれればと思ってます。

37:00
今年の抱負を豊田大輔が語った。

豊田大輔
もっといいクルマってなんだろう?というのを数字含め、論理的に、他の人に説明できるようになれたら、
量産車開発にも自動運転にも応用できると思います。
こういった素晴らしいメンバーと勉強していきたいと思います。

41:20
最後、モリゾウから…

モリゾウ
皆さんが謎に思った『なぜモリゾウという名前でレースに出ているんだ?』とか
『なぜルーキーレーシングってやるんだ?』を公の場で話が出来ること自体、
私がクルマに乗り始めたころに比べると隔世の感があります。

皆さんの応援が社業としてのもっといいクルマづくり、個人としてのいろんな人材育成に、
ずいぶん後押しをいただいております。
ですので、こういう想いで活動しているということをオートサロンの皆さんの前で言えたこと…、
決して、軽い気持ちで発言はしておりませんので、皆さんの温かいご理解と応援をいただきたいなと思います…。

2.スペシャルトークショウ"MORIZO is back to 東京オートサロン"DAY1(36分12秒)

ステージの上はMC2人(脇阪寿一、井澤エイミー)とモリゾウだけ。
モリゾウからMCには「なんでも聞いてよ」とだけ伝えられた台本なしのトークセッション。

【見どころ】
02:30
MC脇阪寿一より「台本ございません」と言われ
モリゾウからも「こちらも何も聞いてません」「なに聞いてもらってもいいですよ。どうぞどうぞ。」

05:00
豊田章男には、モリゾウ(ドライバー)、豊田社長(経営者)、豊田章男(個人)など、いくつかの顔がある。
なぜモリゾウと名乗ったのか?

モリゾウ
前はモリゾウという名前を豊田章男を隠すために使っていた。
モリゾウというのはトヨタの社長とか副社長というタイトルを隠すためのものだった。
今は豊田章男というトヨタの社長の個性を出す役割がモリゾウという名前のような気がします。

08:20
「トヨタの社長(の役割)をどなたかにお譲りしていっても残るのは豊田章男とモリゾウだと思いますよ…」
という経営者を引退する日のことまで想像しながら始まったのは” トヨタの走りの味づくり伝承の話
なぜ自分の息子(豊田大輔)にマスタードライバーの役割を受け継いでもらいたいと思っているのか?

14:00
MC脇阪が「コネクティッドシティってどういうことですか?」と聞いたことではじまった
なぜ「Woven Cityに取り組むのか?」「どうして必要だと思ったのか?」という話。

24:00
「未来のクルマ社会をどう考えているのか?」と聞かれモリゾウは答えた。

モリゾウ
未来を決めるのは未来に生きる人。
未来になるまでの間にいろんなチョイスを作っておくのが今の現役の役割なんじゃないかと思ってる。
できれば失敗をしておいてあげようと思う。未来を創るためには失敗が必要な場合もあります…。

27:00
GRヤリスの話になり「(このクルマに)満足してるかというと満足はしてないですよ」と答えたモリゾウ。
その言葉から始まった開発秘話。モリゾウが、この車に足りていないと思っているものは…

30:00
お客様に伝えた締めの言葉…。

モリゾウ
トヨタイムズのCMで『社長、本当に好きなクルマってどんなクルマ?』と聞かれて
ガソリン臭くて、音がうるさいクルマがいいんだよねって言っちゃったんですよ。
そうしたら結構バズってね…世の中、そういうの求めてる人いるんじゃない?と…。

クルマ好きの方にいていただける限り、トヨタはこういう皆さんがワクワクするクルマ…
たとえそれがガソリン臭くても、そして、ちょっと大きな音が出ても作り続けます!

3.スペシャルトークショウ"MORIZO is back to 東京オートサロン" DAY3(35分32秒)

オートサロン最終日にも、台本なしのトークセッションが行われた。

【見どころ】
03:00
MC脇阪寿一から、この日最初に聞かれたのは「コネクティッドシティって何ですか?」
そこからCESで発表されたWoven Cityについての話が始まる。

モリゾウ
ただ自動運転だとかCASEに合わせるクルマだけつくっていけば未来ができるってもんじゃなくて、未来ってのは、道や、それと繋がる様々なものが一緒に(進化が)進行していかないと、未来はもっと遠いものになっちゃうんじゃないかなと思って…

メーカーはどこであれ関係なくて、大事なのは「ヒト中心」ということ。
そういうことの言い出しっぺをトヨタがやらせて頂いている。

07:00
トヨタが創業期にクルマをつくった時の想いと、今回、街をつくろうと言い出したトヨタの想いを重なるのでは?と
MC脇阪は豊田章男に投げかけた。豊田は、なぜWoven Cityをつくろうと考えたのかを語り出す。

10:00
MC井澤が「私が住みたいって手を挙げたら(Woven Cityに)住めますか?どうやって住人に選ばれるんですか?」と聞いた。
豊田は、街の住人に求めることを語った。

12:00
ここから10分程度続く会話を編集部としては一番見てほしい。
MC井澤の素朴な質問「世界を飛び回ってて時差ボケってないんですか?」に始まり、
続けて脇阪が「殺人的なスケジュールの中で、なぜ東京オートサロンに?」を聞いた。

モリゾウが「東京オートサロンに対するモリゾウの想い」「なぜ息子を、この場に上げて紹介したのか?」「自らが色々なことをリアルに素直に語る意味」を語り出す。

24:00
息子がレースに出る時の父としての気持ちを、自分と自分の父、自身と運転の師匠の関係を思い出しながらモリゾウが語った。

25:00
モリゾウは「社長のところに真実の情報なんか入って来やしない」と言い切った。
“トップダウンの意味”、“現場への想い”を語り、“GAZOOへの期待“ROOKIE Racingの意味を語った。

30:00
脇阪が最後にSNSから拾った「豊田章男に総理大臣になって欲しい」という声をぶつけた。モリゾウはなんと答えたのか?

4.モリゾウ サプライズでヤリスWRCを運転!(14分25秒)

オートサロン最終日、WRC(世界ラリー選手権)に挑戦する日本人ドライバー勝田貴元が屋外会場でヤリスWRCのデモランをやっていた。
そこにサプライズで登場したモリゾウ。

勝田選手にも、MC2人(辻野ヒロシさん、桃原美奈さん)にも、その登場は知らされていなかった。突然のモリゾウ登場に会場の全員が驚く。更に、モリゾウは、その車を運転すると言いだす。
登場シーンから、会場を去るところまで約15分をノーカットで見ていただきたい。

※その他にも、TGRYouTubeチャンネルには、以下のモリゾウ登場シーンが収められている。こちらも是非ご覧いただきたい。
■GRヤリス プレスブリーフィング(2910秒)
 https://youtu.be/b7pMvjNvrT8
TGR World Rally Team体制発表会(3155秒)
 https://youtu.be/gaNVsyArFCg
GRヤリス開発ドライバートークショー(3350秒)
 https://youtu.be/Q_-Yx5grxYE

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