トヨタイムズ

英国AUTOCAR記事紹介「Akio Toyoda is the Enzo Ferrari of our time」(James Attwood氏)

TOYOTA NEWS 2020.12.01 UPDATE

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英国の自動車誌サイトで紹介された豊田章男

11月27日、世界最古の自動車誌として知られる英国「AUTOCAR」のウェブサイトに「Akio Toyoda is the Enzo Ferrari of our time(豊田章男は今の時代のエンツォ・フェラーリだ)」という記事が掲載されていた。

エンツォ・フェラーリ氏と並列で語られることに、おそらく豊田社長自身も誇らしく感じるとともに、むず痒くも感じているだろう。しかし、副題を見てみると「Toyota is reaping rewards from its boss’s love of motorsport, both on track and in dealerships(トヨタはボスのモータースポーツ愛によって、サーキットと量産車の両面で恩恵を受けている)」とある。

ここでいうボスとは豊田章男のことである。記事では、以前トヨタイムズでも紹介した“豊田社長の言葉”も引用しながら、トヨタのクルマづくりの変化についても触れている。今回、トヨタイムズでは、この記事を日本語訳とともに紹介していきたい。

AUTOCARの記事はこちら



[日本語訳+原文]

豊田章男は、今日のエンツォフェラーリと言っても過言ではない。
Akio Toyoda might just be today’s equivalent of Enzo Ferrari.

性格が…ということではない。それは、あらゆる面で表れている。
二人ともモータースポーツへの“真の情熱”と“それを会社の哲学の中心に置くという決意“を持ったリーダーなのである。
Not in terms of character, by all accounts, but in that both can be described as talismanic leaders with a genuine passion for motorsport and a determination to place it at the heart of their firm’s philosophy – which has paid dividends on road and track.

実際、豊田氏は、それ以上に注目すべき点があるかもしれない。
エンツォの情熱をカタチにするスポーツカー専門メーカーとしてフェラーリ社は設立され、彼によって率いられていたが、豊田氏は世界最大の自動車メーカーであるトヨタをトップとして率いている。
Actually, Toyoda might be even more remarkable: while Ferrari led a specialist sports car firm created to allow him to indulge in his passion, Toyoda is chairman of Toyota, the world’s biggest car manufacturer.

多くの自動車会社トップはモータースポーツにかかるコストを宣伝費として正当化するのに苦労している中、豊田氏の場合は“情熱”で、それを体現している。彼はニュルブルクリンク24時間レースに自ら出場し、そこではじめてGRスープラが売り出せる段階にあることを承認していた。
In an age when many bosses see motorsport as a hard to justify promotional cost, it’s a passion for Toyoda. He often competes in the Nürburgring 24 Hours and he refused to approve the GR Supra until he had raced it on the track.

彼はまた、トヨタがモータースポーツへ永続的に参加していくことを真剣に考え、WRC(世界ラリー選手権)とWEC(世界耐久選手権)の両方にワークスチームの参加をさせている。
他のメーカーがWECから撤退する中でも、TS050HybridWEC参戦車両)に、決して安くない投資を続け、また、レギュレーションがなかなか見えてこなかったにも関わらず、WECの次のレギュレーション(ル・マン ハイパーカークラス)にも対応しようとし続けている。
He’s also a real believer in Toyota’s continued participation in motorsport, signing off works entries in both the World Rally Championship and the World Endurance Championship, continuing to fund the expensive TS050 Hybrid in the latter even after other manufacturers had quit.
Toyota has also remained committed to the WEC’s forthcoming new Le Mans Hypercar class, despite years of uncertainty over the rules.

彼がモータースポーツにどれほど熱心に取り組んでいるかを知るには、トヨタがレースに勝利した後に、豊田氏から発せられるコメントを読むとよくわかる。
直近では、マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペス、小林可夢偉がバーレーンで行われた8時間耐久レースで優勝し、トヨタが2年連続のチャンピオンを決めた時に、コメントが出された。
そこには小林可夢偉に向けた追伸が書かれており、表彰台で彼がシャンパンのコルクを抜けなかったことを、茶化しながら個人的に声をかけている。(トヨタイムズ編集部注*1)
To see how engaged Toyoda is with his firm’s motorsport projects, just read the open letters he issues after major successes. The latest came after Mike Conway, José María López and Kamui Kobayashi wrapped up Toyota’s second straight WEC title by winning the Bahrain 8 Hours – and finished with an amusing jibe at Kobayashi for his failure to pop his podium champagne cork.

多くの企業幹部がレース勝利後に出すような礼儀に満ちたコメントとは違って、豊田氏のコメントは情熱に溢れている。
優勝を果たした今年のル・マン24時間レースの後、彼のコメントでは、優勝した選手たち(セバスチャン・ブエミ、中嶋一貴、ブレンドン・ハートレイ)に対するお祝いよりも、トラブルにより2位になってしまった選手たち(コンウェイ、ロペス、小林)に、技術的な問題の謝罪をしている。(トヨタイムズ編集部注*2)
Unlike the platitude-filled statements most execs put out after successes, Toyoda’s are bursting with passion.
After this year’s Le Mans, much of his congratulatory letter was an apology to Conway, López and Kobayashi for the technical issues that handed victory to the sister TS050 Hybrid driven by Sébastien Buemi, Kazuki Nakajima and Brendon Hartley.

昨年、オィット・タナク選手がWRCタイトルを獲得した後にトヨタからヒュンダイへの移籍を発表したとき、豊田氏は、オィットが異なる環境での新たな挑戦をしたいとチームを去ることに対して“simply amazing” と表明し、“幸運を祈っている”と言って送り出した。
When Ott Tänak announced his shock switch from Toyota to Hyundai after winning last year’s WRC title, Toyoda said he felt his stated reasons for the switch – a new challenge in a different environment – were “simply amazing” and wished him luck.

そして、WRCチームがセバスチャン・オジェ選手とエルフィン・エバンス選手を迎えるために、ヤリ・マティ・ラトバラ選手とクリス・ミーク選手をドロップしたとき、豊田氏は新たに加入するドライバーを歓迎するよりも、去りゆくドライバー達に、より多くの感謝の言葉を費やしていた。(トヨタイムズ編集部注*3)
And when the team dropped Jari-Matti Latvala and Kris Meeke for Sébastien Ogier and Elfyn Evans, Toyoda spent more words thanking his outgoing drivers than welcoming his new ones.

豊田氏のモータースポーツへの情熱は言葉だけではなく、ショールームにも反映されている。
アメイジングとも言える新しいGRヤリスは、自動車量産メーカーがビジネスだけを考えても作れるような類いの車ではない。トヨタの情熱とBMWとのコラボレーションで実現したGRスープラも同様である。そして、トヨタは次の規程のル・マンルに出られるようなハイパーカーも手掛けている。
The benefits of Toyoda’s motorsport passion go beyond words: they’re reflected in the showroom, too. The amazing new GR Yaris is the sort of car that a mass-market firm has no business making. Same for the GR Supra, which took Toyoda’s passion and collaboration with BMW to reach reality. And we haven’t even got to the hypercar Toyota is making to enable its next Le Mans racer.

恩恵を受けているのはパフォーマンスカーだけではない。最新のヤリスとカローラの開発は、単にたくさんの車を売るという考えではなく、素晴らしい車を作ろうという努力が込められている。
But it’s not just performance cars that are benefiting: the improvements in the latest Yaris and Corolla reflect a firm striving to make great cars rather than simply sell a lot of them.

モータースポーツの精神が、トヨタ全体に、ますます浸透しているのではないだろうか。そして、それはトップから来ているものだと思う。
豊田氏は、フェラーリのように、彼の持っている想いで、トヨタを変え、形づくっている。そして、それはトヨタがモータースポーツで素晴らしい成功をおさめること、そして、本当にエキサイティングなロードカー(市販車)をつくることに繋がっている。
It reflects a motorsport ethos that’s increasingly being imbued throughout Toyota – and that comes from the top.Essentially, like Ferrari, Toyoda has moulded his firm in his image – and it’s helping Toyota to achieve incredible sporting success and make genuinely exciting road cars.

[記事で紹介された豊田社長のコメントはこちら]

*1「WEC戦バーレーン時間レース優勝に対する豊田社長コメント(2020年11月15日)」
小林可夢偉にむけた“追伸”が書かれている。

*2「WEC戦ル・マン24時間レースならびにWRC戦ラリー・トルコ優勝に対する豊田社長コメント(2020年9月20日)」
ル・マンに勝利しながらもマシントラブルにより思った走りのできなかった選手への声がけが書かれている。

*3「WRCで共に戦った仲間達に、豊田章男が送ったメッセージ(2019年12月4日)」
チームから去る3選手へ個別に声をかけている。

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