トヨタイムズスポーツ
2022.09.13

車いすテニス三木拓也が戻ってきた大舞台。語った本音、見せた本気

2022.09.13

トヨタのパラアスリートのなかで「お兄さん的存在」でもある、車いすテニスの三木拓也選手を特集。8年ぶりとなる全米オープン出場前の貴重な練習風景や意気込みを余す所なく放送。森田キャスターによる体当たりリポートも見逃せない。

9月7日に配信されたトヨタイムズ放送部は、車いすテニスで全米オープンに出場する三木拓也選手を特集。渡米する直前の三木選手を直撃し、8年ぶりのグランドスラム(4大大会)への率直な思いなどをインタビューした。気合いの入った練習を取材し、森田京之介キャスターは当然のように体当たりリポートを敢行。三木選手の本気のサーブを打ち返せるのか?

トヨタのパラ選手の「お兄さん的存在」

9月になり放送部のスタジオは、本格的なニュース番組のセットに。いきなり一新されたスタジオを見て、視聴者のコメント欄も「スタジオグレードアップしてる」「森田さんのアナウンサー感増し増し」と驚きを隠せない様子だった。

新スタジオの記念すべき第1回ゲストは、パラ陸上短距離の佐藤圭太選手。今シーズンは大きな国際大会がなかったが、自己ベストに迫る記録を出しており、冬の強化期に向けた抱負も冒頭で語ってくれた。車いすテニスに関しては、2017年にロンドンでウインブルドン選手権を観戦し、スピードと迫力、レベルの高さに感動したという。

そんな佐藤選手たちトヨタのパラアスリートを引っ張っていく「お兄さん的な存在」こそが、三木拓也選手。車いすテニスの世界ランキング10位で、パラリンピックにはロンドン・リオ・東京と3大会連続で出場。グランドスラムには2014年の全仏オープン以来、8年ぶりの出場となる。

豊田社長が称賛した写真の腕前は?

車いすテニスのツアーは海外での試合が多く、日本で三木選手に会える機会は貴重。放送部は幸運にも、全米オープンを控えて国内で練習中の三木選手に取材することができた。

インタビューで森田キャスターは、「自分の性格は?」「得意なショットは?」などの基本的な質問を三木選手にぶつけ、テニスのラリーのように即答してもらった。

三木選手が得意としている「写真撮影」は、佐藤選手も「SNSとかで見ると本当にめちゃめちゃうまいですよね」と話す。昨年9月5日の放送では、豊田社長から称賛されていたほど。

そこで番組では、秋を先取りする写真を三木選手に提供してもらった。ここで紹介したもの以外にも放送では写真を数点公開しているので、その腕前を見ていただきたい!

「ゲンは担がない」理由に佐藤圭太も共感

「ゲンは担がない」「勝負飯はない」という三木選手のスタンスを、番組ではさらに深掘りしていった。その理由について、「テニスって対応力のスポーツなので、そこに縛られると、手段じゃなくて目的になってしまうんです。ゲンを担げなかったから負けたとか、そういう言い訳はあまり用意したくない」と三木選手。

「だから(試合前に)音楽とかもあまり聞かないです。そっちに意識を持っていかれるのが嫌で、試合に意識を持っていきたい」と話す。

そのVTRに、スタジオで深くうなずいていたのが佐藤選手。「遠征とかは不確定要素が多いので、ゲンを担げなかったり勝負飯を食べられなかった時に、それを理由にしてしまう」と、自身もゲンを担ぐのをやめたそうだ。

三木選手と大高翔コーチの関係性についても、佐藤選手は深く共感していた。コミュニケーションを重ねて幹がしっかりできあがると、その先のレベルを勝ち進んでいくためには、選手から主体的に取り組むことが求められるという。30代を迎えた両選手が、過去の自分を超えようと挑んでいく姿勢は、アスリートでなくても参考になるかもしれない。

手を使わなくても縦横無尽、驚きのチェアワーク

続いて、大会直前の三木選手の練習を見学した。森田キャスターが驚いたのは、手を使わずに腰の動きだけで、車いすを縦横無尽に走らせるウォーミングアップ。次に、両手も使って急停止や回転などの激しい動きのチェアワークを丹念に行った後に、ラケットを持たずにボールをキャッチするトレーニングを行っていた。

ようやくラケットを手にすると、レシーブやサーブの練習へ。コーチとコミュニケーションを取る表情も真剣だ。それを見た佐藤選手が気になったのは「やっぱり最初のチェアワーク。あんなことができるんだなって!」と話す。

迫力のサーブに森田が挑む! 続きは「おまけ映像」で

見学だけで終わらないのがトヨタイムズ放送部。三木選手のサーブを森田キャスターが実際に受けて体感することになった。挑んではみたものの、強烈なサーブにラケットを当てるのが精いっぱいで、振り遅れがちな森田キャスターに、三木選手は「ラケットを置くイメージです」とアドバイスしていた。

優しさを見せる一方で、森田キャスターには1本も返させまいと、勝負にこだわる三木選手。両手を離した状態で下半身も車いすごと回転させ、速いボールを正確に打ち込んでくるのは驚異的だ。森田キャスターの頭部に付けたカメラの映像に、視聴者も「すげーサーブ打つな~」「私も三木さんのサーブ受けてみたい!」と反応していた。

右に左に翻弄され続けた森田キャスターだったが、ただ1回だけ、ボールに正面からラケットを合わせるチャンスがあった。まさかのラッキーショットとはいえ、三木選手も試合本番に向けて気を引き締め直したに違いない。その様子は「おまけ映像」として番組の最後に収録しているので、ボールの行方が気になる方は、エンディング曲の後も見逃さないでいただきたい。

グランドスラムに向けての本音と覚悟

インタビューでは、全米オープンでの目標を「なかなか難しい」と三木選手は語る。「出るからには優勝と言うのは、必ず自分の中ではあるんですけど。現実を見なければならない部分もあるので、目標は自分の準備次第。今はあまり口にしたくないですね」と本音を話していた。

それでも、グランドスラムへの思いは強い。「8年前に全仏に出て、それ以降ずっとそれが頭から離れないんですよ。最高峰の舞台でプレーし続けられたら、絶対にテニス選手としても人としても成長できるし、ここに居たいって」と言う。

それを聞いた佐藤選手は、「僕たちから見ても車いすテニスって、パラスポーツの中でも歴史や興業的な部分で数段上のステージかなと思うんですよね。その中で三木さんはずっと戦っているので、僕たちはトヨタの仲間として、どんな結果だろうと応援し続けたい」と語っていた。

東海理化の16歳、小田凱人も全米に出場

放送翌日から始まる全米の車いす男子シングルスには、東京2020パラリンピックを「グローバルチームトヨタアスリート」として戦った、アルゼンチンのグスタボ・フェルナンデス選手、スペインのマルティン・デラプエンテ選手も出場する。

さらに、トヨタグループの東海理化に所属する注目の16歳・小田凱人選手もエントリー。小田選手からは特別に、放送部に向けてメッセージが寄せられた。

三木選手も若手の活躍に刺激を受けているそうだが、佐藤選手は「競技の発展のうえではとても大切ですが、三木さんも(内心は)負けてたまるか、メラメラだと思いますね」とエールを送っていた。

なお、三木選手は放送翌日に1回戦を突破。さらに2回戦も勝ち上がり、準決勝では世界ランキング1位に返り咲いた国枝慎吾選手との日本人対決となった。そこで惜しくも敗れてしまったが、8年ぶりの大舞台で素晴らしい戦いを見せてくれた。ベテランから若手まで、日本人も多く活躍している車いすテニスの世界。パラスポーツの未来に向けて今後も応援を続けよう!

次週はWEC特集、小林可夢偉と平川亮がスタジオに!

週末のトヨタアスリートの予定紹介では、富士スピードウェイで3年ぶりに開催のWEC(FIA世界耐久選手権)第5戦に出場する、TOYOTA GAZOO Racingチームからのメッセージが披露された。ドライバー6人が順番に日本語で言葉をつないでいったのだが、選手を兼任する小林可夢偉代表が最後に照れ笑いしてしまうことに。

そして、毎週水曜日11:50からYouTubeで生配信しているトヨタイムズ放送部は。次回(2022年9月14日)にWECを特集する。ゲストは可夢偉代表と、ル・マン24時間を制した平川亮選手。富士のレースの結果や今後の展望はもちろん、特別企画として行われたROOKIE Racingチームとの対決の裏側も聞く予定。ぜひ、お見逃しなく!

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