「完璧は善の敵」トヨタチーフ・サイエンティストに聞く脱炭素

2023.03.06

世界は脱炭素へどう進むべきか。日本で開発中の水素の可能性は。トヨタのチーフ・サイエンティスト、ギル・プラット博士に聞いた。

今回のトヨタイムズニュースは、TRIToyota Research Institute)のCEOでもあるギル・プラット博士が講演した、2023年1月のダボス会議、2月のモビリティ委員会を、本人をスタジオに招いて振り返る。

カーボンニュートラルの実現へ、プラット博士が「とても大切な言葉」と強調したのが、「完璧は善の敵」。フランスの哲学者ヴォルテールの言葉だ。

国内外のリーダーに送ったメッセージ。そして、トヨタの哲学である「完璧なクルマではなく、もっといいクルマづくり」にも似ていると語る、哲学者の言葉に込めた想いに迫った。

世界中の政財界の指導者が集まり、政治や経済、気候変動などについて議論を交わす“ダボス会議”。欧州を中心に“カーボンニュートラルの実現にはBEV(電気自動車)”という考え方は根強い。

その欧州で開かれた会議で、「PHEV(プラグインハイブリッド車)、HV(ハイブリッド車)、FCEV(水素などの燃料電池車)も解決策の一部」、「限られた資源を有効的に活用する必要がある」と伝えたプラット博士。動画ではBEV1台分の電池容量に相当するPHEVHVの台数と、それぞれの場合でのCO2排出量を比較した、驚きの結果が紹介されている。

会議直後の取材では、ゼロエミッション車の完成には時間がかかるとし、「なるべく早く多くのCO2を削減する必要がある」と語った。

後半はトヨタが自治体や企業と連携して進める水素燃料の開発状況について。富川悠太が水素の製造工場で取材した様子をお届け。

2022年7月に開催したスーパー耐久レースでサーキットを疾走する水素エンジンカローラ。その燃料の産地の一つが福岡市だ。

水素社会の実現に向けて、トヨタと連携協定を結ぶ同市。高島宗一郎市長が「ここから宝ができるかもしれない」と期待を寄せる、意外な製造所に富川が潜入する。ところが次第に苦悶の表情に変わっていき…。その理由は皆さんの目で確認を。

大分県からは、大林組が開発する日本初の地熱による水素製造の映像も。ここで製造した燃料で走る水素エンジンカローラについて、大林組の伊藤剛統括部長は「本当にワクワクして応援したい」と笑顔を見せる。

水素への期待が、各地で高まっている様子を感じてほしい。

00:30 プラット博士と考えるカーボンニュートラル
01:03 モビリティ委員会
04:47 ダボス会議
08:00 ダボス会議直後のプラット博士を取材
11:35 限られた資源を効果的に使うには
12:33 一人ひとりに合った解決策を
15:06 「完璧は善の敵」
17:51 水素燃料製造への取り組み
28:08 山の登り方は多様

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