トヨタイムズニュース
2023.02.03

バトンタッチは爆音の中で 豊田社長が選んだ佐藤恒治次期社長

2023.02.03

「社長やってくれない?」と内示を受けたのはサーキット。「チーム経営」を掲げるニューリーダーの生放送の7つのシーンを振り返る。

1月26日にアナウンスされたトヨタ自動車のトップ交代。今回の記事では、「これからのトヨタ」を率いていく佐藤恒治(さとう・こうじ)次期社長にスポットライトを当てる。

佐藤次期社長は、1992年の入社以来、エンジニアとしてキャリアを歩み、2017年に発売したフラッグシップクーペLEXUS LCのチーフエンジニアを務めた。

2020年からは、Lexus International Co.(1月)、GAZOO Racing Company(9月)のプレジデントを務め、翌年、豊田章男社長からChief Branding OfficerCBO)のバトンを引き継ぐ。

2021年からは水素エンジン車によるレース参戦を率い、レースの現場から、カーボンニュートラル社会の実現に向けた技術の進化や仲間づくりの取り組みについても発信をしてきた。

豊田社長が後継者に選んだ理由は? そして、次期社長はどんなアドバイスをもらったのか? 新体制を率いるリーダーの生放送での発言、やりとりをハイライトする。

「僕のクルマ好きは『つくるのが好き』」

シーンⅠ:佐藤次期社長を紹介する映像で、豊田社長とともに、クルマを楽しんでいる姿が映し出されて

豊田社長

この笑顔いいじゃん。

佐藤次期社長

ありがとうございます。

富川悠太キャスター

本当にクルマのこと、いい笑顔で話されるんですよね。

佐藤次期社長

初めて褒められたかもしれない()

豊田社長

褒めてませんから()

富川キャスター

恒治さんもクルマ好きでね。

佐藤次期社長

そうですね。ただ、僕の「クルマ好き」はどちらかというと、「つくるのが好き」なんですね。章男さんは「乗るのが好き」。もう隠せないぐらい、はみ出てるぐらいクルマ好き。

僕はやっぱり、クルマが好きな人にいいクルマに乗ってもらいたい。その人たちに笑顔になってもらいたい。そういうところに喜びを感じるクルマ好きですね。

富川キャスター

同じクルマ好きでも種類が違うんですね。

豊田社長

ちょっとミッションが違いますよ。私はクルマ屋としての限界を感じていますよね。

彼もクルマ屋ですが、ミッションはモビリティ・カンパニーへの変革。それを若いチームでやるということじゃないですかね。

サーキットで「社長やってくれない?」

シーンⅡ:富川キャスターに「いつどのように社長就任の内示を受けたのか」と聞かれ

佐藤次期社長

これがですね…。昨年末にタイのブリーラム県で耐久レースがあって、そのレースの現場で「ちょといい?」と声をかけられて…。

サーキットの高揚感がある中で呼ばれ、「ちょっとお願いを聞いてくれる?」と。「もちろんです」と答えたら、「社長やってくれない?」。どうリアクションしていいか分からないですよね。

最初、何が起きているのか分からなくて…。今思えば、自分があまり深刻になりすぎないよう「親心」というか「配慮」だったんだなと。

「これは冗談なんだ。何がこの後待っているんだろう…」と思わせる内示でしたね()

豊田社長

やっぱり内示は必要だと思うんです。でも、私には私流の内示の仕方があるだろうなと。

彼は社長室で決裁を取る時間より、一緒にクルマに乗っているとか、現場のエンジニアと一緒の場面が多かったんですよね。

ですから、改めてどこかに呼んで話をするより、今までの延長線上でお願いをした方が良いのかなと。

ただ、タイミングがなかなかなくて…。年をまたいだらいけないと思い、タイのあの瞬間を狙いました。

富川キャスター

しかも、サーキットですから、爆音が鳴り響いているわけですよね?

豊田社長

ちょっと周りに人がいましたけど、聞こえませんよ。逆に密室にふたりで入ると、それこそ「何なんだろうな」と思われるじゃないですか。だから普段と同じ環境でお願いをしました。

佐藤次期社長

サーキットでレースカーがブンブン走っているのを2人で見ながら、最初は軽くアプローチをしてくださったんですけど、その後、クルマに対する想いとか、どういう想いでトヨタを率いてきたか、何を期待してるのかなど、レースカー見ながら、ずっとお話をさせてもらいました。自分の中で気持ちを整えていくような時間ですね。

富川キャスター

まさにおふたりらしいバトンタッチの場だったということになりますね。

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