豊田章男がリーダーに期待すること

2021.09.19

水素エンジンで臨む3rdレース。鈴鹿サーキットで行われた会見で、前日に告示された自民党総裁選挙について質問が出た。

9月18日、三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットで、スーパー耐久シリーズ2021第5戦の予選が行われた。

今回は水素エンジンを載せたカローラスポーツで臨む3回目のレース。予選が始まる前、カーボンニュートラルに向けた取り組みを伝える記者会見が行われていた。

豊田章男社長もレーシングスーツ姿のままで登壇。日々拡大している脱カーボンに向けた取り組みや、水素エンジンの進化などの質問に答えていた。

その中で、1問だけ、サーキットでの会見には、不向きな質問があった。17日に告示され、29日に投開票となる自民党総裁選挙についての質問である。

トヨタイムズでは、レーシングスーツ姿の社長が答えた「リーダー論」について紹介したい(水素エンジン3回目のレースについては、また別途お伝えします)。

――自民党総裁選に向けた議論を見て期待していること、国のリーダー論で思うところを教えてほしい

豊田社長

ひとつ言いたいのは、昨年のコロナからずっと現実は変わっておりません。しかしながら、メディアとか政治家の方は、コロナの次はオリンピック・パラリンピックの開催可否。

そして、大会が始まれば感動物語。それが終わると総裁選とあたかも舞台がどんどん変わるかのごとく伝えておられますが、我々国民というか、現実は何も変わっていないんです。

いろいろな我慢と犠牲の上に(成り)立っており、会社が潰れてしまった人たちもいますし、仕事を失った人がいるのも現実なんです。

そんな中で、真面目に働いている国民や企業が報われない。しかも、むしろ馬鹿を見るみたいなのが、失礼ですが、今の日本の現状であり、そんな国には絶対にしてほしくないと思っております。

我々、「正解を言ってほしい」と国のリーダーに求めているわけではございません。「正解が分からない世界なんだ」ということは、国民みんなが知っていると思うんですね。

ですから、国のリーダーには、「正解を出してほしい」じゃなくて、今申し上げたように、真面目に働いている国民が「今日より明日はきっとよくなる」。そう思える国にしてください。それに尽きると思っています。

コロナ危機、カーボンニュートラル、デジタル化。今の日本が抱えている問題は、機能横断で国を挙げて取り組まなければならない問題だと思っております。

やはり、省庁縦割りでバラバラに動いておりまして、それぞれに枠組みがあるんです。カーボンニュートラルだけでも、省庁縦割りでいろんな予算があるわけじゃないですか。

それを一つにまとめて動いたらどう変わるかということも、ぜひ、想像いただきたいと思います。

どなたが首相になられても、今の仕組みでは難しいんだと思います。ですから、やはり、今の仕組みを国横断的にやっていただくだとか。そして、未来とか成長産業とかに投資しているという言葉だけが独り歩きしております。

SDGs、「誰ひとり取り残さない社会」ということならば、過去・現在をやってきた仕事の価値観の上に、変化をしながら、新しい未来をつくっていく国づくりに期待したいと思います。

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