今、我々ができる3つのこと 自動車4団体合同会見 豊田会長メッセージ

2020.04.10

コロナ感染拡大に自動車産業はどう向き合うか―。自動車工業4団体が結束して緊急記者会見を開いた。

410日、豊田章男(トヨタ自動車社長)は、自動車製造に関わる国内の4つの業界団体(日本自動車工業会、日本自動車部品工業会、日本自動車車体工業会、日本自動車機械器具工業会)合同のメッセージを伝える緊急記者会見の場に、日本自動車工業会(自工会)会長として臨んでいた。

会見のテーマは、「コロナウイルス感染拡大に自動車産業としてどう向き合っていくか」。豊田はあいさつの冒頭、次のように語った。

「従来、会見の場は既に決まったことだけをお伝えする場でした。ですが、本日の内容にはこれから考えていくことなど、我々の想いや宣言のようなものが含まれております。具体的に決まっていなくても想いをお話しすることで、それなら一緒にやってみよう!と手を挙げてくださる方が出てくるかもしれません」。

日に日に深刻さを増す危機的状況だからこそ発信した決意表明。自動車産業からのメッセージを全文掲載したい。

当日の質疑応答はこちら >>

<自工会 豊田会長あいさつ全文>

豊田でございます。

本日は急遽、お時間をいただき、ありがとうございます。

今日は、自工会だけでなく、先ほど、紹介のあった自動車製造に関わる3団体の皆様と共に、お話しさせてさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

医療従事者など戦う人への感謝

先日の自工会の会見で、私から、
「世の中にはコントロールできる話とコントロールできない話がある」
「コントロールできないことに深刻になればネガティブになる」
「自分がコントロールできることを、しっかりやっていこう」
「コントロールできないことを誰かがやってくれていたら感謝しよう」
そんな話をさせていただきました。

まずは、我々ではコントロールできない所で戦ってくださっている「医療従事者の方々」や「輸送関係など我々の生活のために動き続けてくださっている方々」そして、「それを支えるご家族の皆様」に、心から感謝申し上げたいと思います。ありがとうございます。

そして、この感謝は“日本に向けて”だけではございません。我々は、あらゆる国と地域で事業を展開しており、それぞれの地にも、“日々、最前線で戦ってくださっている”方々がいらっしゃいます。

日本からのメッセージが、どこまで届くかは、分かりませんが、日本の自動車産業、全員、心から感謝し、エールを送り続けたいと思っております。本当に頑張ってください!

医療崩壊させないために

日本の話に戻りますが、今、日本も本当に危機的な状況です。もし、感染者数がさらに増え、医療が崩壊してしまえば、日本は立ち直れなくなるかもしれません。

まずは、私どものコントロールできることで、お役に立てることを、少しずつ、始めていければと思います。

従来、会見の場は、既に決まったことだけをお伝えする場でした。ですが、本日の内容には“これから考えていくこと”など、我々の「想い」や「宣言」のようなものが含まれております。

具体的に決まっていなくても、“想い”をお話しすることで、「それなら一緒にやってみよう!」と手を挙げてくださる方が出てくるかもしれません。そうすれば、もっとスピーディで、もっと大きな動きにしていけます。危機的状況だからこそ、そういうことが必要だと考えました。

そこをご容赦いただき、お聞きいただければ、幸いです。

マスクの自給自足

話を戻します。医療崩壊をさせないため、少しでも役に立てること、そのひとつ目は、我々、自動車産業の手でマスクを作ることです。

しかし、これはまだ、皆様にお届けするほどの品質も、数量も確保できておりません。

車の部品から作ったマスクの試作品は、実際、ゴワゴワでした。改良も進んでおりますが、まず、これらは、自分達の身を守るために使ってまいります。その分、外からの購入を減らし、少しでも需給緩和に寄与できればと考えております。

隔離施設の自給自足

また、私どもには空いている寮や保養施設がございます。例えば、トヨタグループだけでも、1500室程度、自工会会員各社では合計3000程度の部屋が用意できる見通しです。

現在は、海外赴任からの帰国者用に活用しておりますが、状況によっては、軽症患者が療養する施設として使っていただくことも考えてまいりたいと思います。

人工呼吸器製造の改善支援

人工呼吸器の製造を期待する声があることも認識しております。しかし、これは、人の命に直結する医療器具です。自動車も人命に関わる製品ですので、命に関わるモノづくりが、どれだけ難しいかを我々は理解しています。簡単なことではありません。

まずは、医療機器を作っている方々のところに行き、その生産を一つでも増やせるような、生産工程の改善など、我々のノウハウが活かせるサポートを始めてまいります。

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