2019.10.27

香川編集長、トヨタブースで未来を体験

2年に1度開催される自動車産業の一大イベント、東京モーターショー。国内外のメーカーが総力を挙げてコンセプトカーを制作し、きらびやかに展示する...モーターショーとは、そんなお祭り的なイベントだった。だが現在、世界的にモーターショーには逆風が吹いている。以前ほど世間の関心が集まらなくなり、多くのモーターショーで来場者数も減少傾向。

そんな中、トヨタは今年の東京モーターショーで、一体何を展示し、どんなメッセージを発信するのだろうか。現地を訪れた香川編集長が目にしたのは、まったく新しいコンセプトのブースだった。

コンセプトは“未来の街”

トヨタブースで編集長を出迎えてくれたのは、トヨタ自動車の伊原さん。トヨタブースを体験するには、まず「レジデンスカード」をつくるのだという。ブース内をひとつの街と見立て、その住人となって未来の街を体験するという仕掛けだ。「PLAY THE FUTURE!(未来を楽しもう)」が今回のテーマだと言う。

レジデンスカードを持ってブース内のコンテンツを体験すると、カードにポイントがたまっていく。最後にポイントを使っておみやげを持って帰れるという。いわゆる“モーターショー”のイメージとまったく違う展示に驚く編集長。

「なんでこれをつくることになったんですか?」という編集長に、
「とにかく楽しんでもらうこと、遊んでもらうことを大切に企画しました」と伊原さん。

ニックネームを入力して、顔写真を撮ってオリジナルカードを作る。なんと顔の表情によって背景の模様や色が変わるため、世界で1枚だけのオリジナルカードができあがるという。

「まっ茶色になったらどうしよう」と心配しながらできあがりを待つ香川編集長。 さわやかなデザインが出てきて一安心だ。できたばかりのカードを手に、編集長はブースの奥へと進む。

こだわったのは、子どもに体験してもらうこと

ステージでリハーサルを終えたばかりの豊田章男社長の姿を見かけた香川編集長、さっそく直撃した。

「今回ここのブースでこだわったのは、子どもたち。子どもに乗りものを実際に体験してもらうことに力を入れました」と豊田社長は今年のテーマを説明してくれた。

トヨタブースは、未来のモビリティを体感できるテーマパークであり、いわゆる“現在のクルマ“は一切置いていない。これまでのモーターショーの常識からすると、思い切った決断だ。

豊田社長の案内でまず向かったのは、「TOYOTA e-Care」。2018年に発表した自動運転車のプラットフォームe-Paletteに遠隔診療の設備をのせたモビリティ。単なる移動手段ではなく、目的に応じて使い方を自由に変えられるのがe-Paletteの特徴だ。

「このe-Paletteは、中身が病院になっちゃったということだね」と豊田社長。

未来のヘルスチェックを体験

「フューチャーヘルスチェッカーへようこそ!」

TOYOTA e-Careに乗り込むと、明るい声が出迎えてくれる。顔の表情でジャンケンをすると、TOYOTA e-Careが表情を診断して感情バランスをチェックしてくれるという。さっそく試してみる二人。そして香川編集長は勝利、豊田社長はあいこという結果に。

「これパーしか出ないよ」と不満顔の豊田社長。

診断結果を見てみると、ジャンケンの勝敗が反映されたのか、香川編集長はイライラ度ゼロ、豊田社長はイライラ度Max。二人とも「にこにこ」度が最高点なのは、さすが。

今回の展示はあくまで楽しむためのものだが、TOYOTA e-Paletteという自動運転プラットフォームに高解像度カメラやセンサー、さらに画像認識やAIといった技術を組み合わせれば、より詳しいヘルスチェックもできるだろう。家の前にきたe-Careに乗り込むだけで、医師の診察が受けられる。そんな未来を予感させるアトラクションだ。

今回のトヨタは「カワイイ」ねらい!?

「社長、次はどういうものがあるんですか」
と話しながら歩いていると、カラフルなボトルをぎっしり積んだロボットが走ってきて、二人の前に止まった。これは未来の小型配達ロボットで、TOYOTA Micro-Palette(マイクロパレット)という。

「さっき(TOYOTA e-Careの診断結果で)、ラッキーカラーはピンクでしたよね」
と豊田社長はピンク色のボトルをひとつ取って、香川編集長に手渡した。

丸いカラフルなボトルに、トヨタのロゴマークが入っている。
「カワイイねらいなんですよ」と豊田社長。

ゴクリと一口飲んだ香川編集長の感想は…。
「心なしか、味もカワイイです」。

移動を楽しむ魔法のほうき

何やらホウキのようなものにまたがって、ステージ上をすーっと滑るように走ってくる人がいる。驚く編集長に、
「これは魔法のほうきです」と説明する豊田社長。

自由自在にステージ上を走り回る姿に
「これは本当にすごい」と編集長も感心しきり。

このe-broomは、魔法使いをイメージした乗りもので、インラインスケートを履いた状態でまたがって乗る。駆動はモーターで、コントロールは足ですることで、移動の楽しさを体験できるという。まさに「乗りこなす」という表現がぴったりのモビリティだ。

e-broomは、誰でもトヨタブースで試乗することが可能で、子ども用のサイズも用意されている。

もう“トヨカワイイ”なんて言葉ができますね

「体験のポイントがたまると、ここで商品に換えられます」と最後に豊田社長が案内してくれたのがトヨタコンビニ。

入り口でレジデンスカードをかざすと、体験で獲得したポイントが表示され、ポイントに応じてグッズと交換できるようになっている。

香川編集長は、ラッキーカラーと診断されたピンク色の携帯ケースをゲットしていた。

さらに、
「これカワイイでしょ」と豊田社長がキーホルダーをおまけでプレゼント。
「もう、“トヨカワイイ”なんて言葉ができますね」とニコニコ顔の香川編集長だった。

キーワードは「人」

ピカピカのコンセプトカーを並べて、それを見にきてもらう。そんな「クルマ中心」の従来型モーターショーから脱却し、トヨタが目指したテーマとは何だろうか。プレス向けブリーフィングの中で、豊田社長は今回のテーマは「人が中心」と言い切った。

トヨタ生産方式の2つの柱である「自働化」と「ジャストインタイム」に共通するのが、人を中心に置くということ。そんなトヨタだからこそ、人を中心とした未来のモビリティ社会を体験できるブースをつくったのだ。

自動車をつくる会社から、モビリティカンパニーへと生まれ変わろうという強い意志が表れた東京モーターショー2019のトヨタブースだった。