トヨタイムズ

豊田章男が語ったトヨタの未来とは 極秘映像を香川編集長が見た!

香川編集長 2020.11.23 UPDATE

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トヨタでは、4年に1度、世界中の販売関係者に感謝と今後の方向性を示す「トヨタ世界大会」を開催している。

従来通りであれば、販売関係のトップが一箇所に集まって開催されるが、今年はコロナ禍により、それができない。

でも、そんな状況だからこそ、みんなにメッセージを届けたいと豊田社長は考えた。

そうして行われたのがメッセージを映像にして届けるという「バーチャル世界大会」。

バーチャルだったら、販売関係だけでなく、世界各国にいるもっと大勢のトヨタの仲間たちにも想いを届けられる。こんな状況を逆手にとってやろうという発想だ。

今回トヨタイムズは、そのメッセージ映像を入手。コロナ禍によって先が見通せない状況の中、豊田社長は世界で働く仲間たちに向けて何を発信したのか。インナー向けの映像だけに、極秘事項も含まれているようだ。

「さっそく始めたいと思います」と席に着いた香川編集長の前に置かれていたのは、一通の誓約書。今回の映像は機密事項が含まれるため、秘密保持契約を結ばないと見られないという。

「すごい重要な機密事項が語られるってことなんだよな。」と高まる期待を胸にサインした香川編集長。いよいよ映像がスタートした。

パンデミックで人々の距離が縮まった

映像がスタート

大スクリーンを前に「なんかひとりで映画見せられるみたいだね、これ」と楽しそうな香川編集長。スクリーン上に現れた豊田社長は、4年に1度の世界大会が、コロナ禍によってオンラインという形になったのは自分にとっても残念だった、と切り出した。それでも必ず来るであろうより良い日々のために、リモートでトヨタの未来を直接伝えることにしたという。

パンデミック下で過ごす世界中の従業員やその家族を気遣い、心からのお見舞いを伝えた豊田社長は、パンデミックの影響についてこう続けた。

トヨタの未来を直接伝える豊田社長

豊田章男(トヨタ自動車社長)
このパンデミックがどれほど大きなもので、どれほど世界を変えてしまったか、理解することすら難しいと思っております。考えてみればすごいことです。私たちを物理的に引き離した出来事が、ある意味、私たちをもっと近づけてくれたのですから。家族やコミュニティはもっと近づき、我々のような企業は一体感をさらに強めたものと思います。”

“我々全員が立ち止まり、何に感謝しているかを考えるきっかけになったのではないでしょうか。”

香川照之(トヨタイムズ編集長)
何に感謝しているかを考えるきっかけになった。そうだな、そういう年だな。

豊田
“私個人としては、トヨタとして世の中のお役に立ちたい、という思いが一層強くなりました。私たちはこれまでも常に「お客様第一」と言ってきました。ただ今は、私たちのお客様であろうとなかろうと、これまで以上に「人中心」の考え方が重要だと思います。”

香川
そう、人と人との距離が離れたのに「人中心」。

豊田
なぜなら、トヨタはこの地球、そしてそこに住む人々の暮らしをより良くする責任があると思うからです。”

サプライヤーも全力で支えていく

48カ国に36万人もの社員がいる

48カ国に36万人もの社員がいるトヨタ。それだけの規模を持つからこそ、その行動によって世界に大きな影響を与えられる。

続いて豊田社長は、生産チームがソーシャルディスタンスを守りながら生産を維持するなど、トヨタがコロナ禍に驚くほど柔軟に対応したことにも感謝した。

豊田
“業績は昨年を下回るものの、思っていたほど悪くはありません。これは皆様のおかげにほかなりません。この場を借りて心から感謝申し上げます。”

香川
そりゃ、業績は下回るけど…

豊田
“現状、最大の懸念である1次・2次含めた全サプライヤーについても全力で支えるべく取り組んでいます。”

香川
サプライチェーンのね、うん。

豊田
“いつになったらこのパンデミックが終わるのかはわかりませんが、いつかは収まる。それだけは断言できます。そして必ず皆で越えていけます。”

香川
いつかは収まる。終わらないものはないんだ。言い切ったよ。

100年に1度の大変革に向けた取り組み

「KAIZEN(改善)」がすべての中心にある

コロナ禍における現状について紹介した豊田社長は「明るい未来に目を向けましょう」、と話題を切り替えた。

より良いトヨタになるための鍵として、豊田社長は「KAIZEN(改善)」がすべての中心にあると説明。グローバルで一体感のある「One TOYOTA」を実現しようと呼びかけた。そのための取り組みのひとつとして、北米本社の新社屋を紹介。生産と販売を同じ場所に集めたことで、より良いコミュニケーションと効率性が実現した。

次に豊田社長は、自動車業界が直面する「100年に1度の大変革期」について言及。変化はさまざまな形で近づいてきているが、「私たちはその準備ができております」と自信を見せた。

過去5年の間に、自動化やロボット技術、新しい電池素材の開発に取り組むトヨタ・リサーチ・インスティテュート(TRI)を創設。さらにクルマのデータを活用して新しいサービスを提供するトヨタ・コネクティッドや、電動化車両の開発に特化したトヨタZEV(ゼロ・エミッション・ビークル)ファクトリーも立ち上げた。ソフトウェアのプラットフォームを開発するTRI-ADの新設も、変革に向けた取り組みのひとつだ。

トヨタ・リサーチ・インスティテュート(TRI)を創設

取材で訪れた会社の映像が流れるたびに「ロボティクス、電動化、全部体験したぞ!」「自動運転乗ったね。みんな元気かなー」と今までの取材を振り返る香川編集長。「これが全部、綿々とつながっているんだよなー」と感慨深げだ。

さらに豊田社長は言葉をつなぐ。トヨタは社内だけではなく、外部とのパートナーシップも強化しているという。グループ会社のデンソーや豊田通商に加え、BMW やBYD、SUBARUといった直接のライバル、さらにUberやNTT、マイクロソフト、アマゾン、CATL、パナソニックといった他業界のパートナーとも積極的に手を組んでいる。

香川
もはや、もう自動車会社ひとつのことじゃないんだね。社長が、今年の頭に「この指とまれ」と、「私と一緒にやる人手を挙げてください」と言ったけど、このことを言ってたんだよな。

豊田
“彼らと力を合わせていけば、私たちは自動車会社からモビリティカンパニーへ変革できると信じております。

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