トヨタイムズ

"あえての今期見通し”に込めた豊田章男の気概 香川編集長決算発表リモート取材

香川編集長 2020.05.23 UPDATE

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だからこそ、ひとつの基準を示すことが必要

司会者
ただ今より、質疑応答を開始いたします。

[質問:今回の決算に対する評価]

豊田
今年はですね、コロナ禍においては、この当たり前のことが当たり前にできない状況の中で、当初予定をしていたスケジュールでできたこと。これがまずですね、関係各社および従業員のみんなにも感謝したいなというふうに思っております。

今回の決算を総括しますと、今回のコロナショックというのは、リーマンのショックよりもインパクトははるかに大きいというふうに思っております。しかしながら、来期の予想でリーマンのときよりも販売台数が落ち込むマグニチュードは大きいものの、今回は何とか黒字を確保できたという点が、終息後の経済復興のけん引役ということを表明しておりますので、その辺の準備は整ったんじゃないのかなというふうに思います。

そういう意味をもってしますと、今回の決算は「新しいトヨタに生まれ変われるスタートポイントに立った決算」といえるのではないかなというふうに思っております。

[質問:来期の見通しを出したことに関して]

豊田
あとですね、需要動向を見せたということでございますが、これはですね、社内でも実はいろいろ議論がありました。われわれ自身もメーカーでありますので、お客さまにクルマを買っていただいて、はじめてクルマをつくることができる。それがわれわれ製造業だと思っております。

そういう中で、われわれがクルマをつくることで、仕入先の工場も動きだし、また地域社会も動きだす。自動車産業というのは経済に対する波及効果が、自動車が1だとしますと、他産業に及ぼす影響は2.5という数字も出てるように、いろんな方の生活を取り戻す一助になるんじゃないかというふうに思っております。

だからこそ、今置かれている状況、今分かっている状況を正直にお話しし、ひとつの基準を示すことが必要だと思いました。この基準があることによって、すそ野の広い自動車産業の関係各社が、皆さん、何かしらの計画、何かしらの準備ができるのではないかなと思います。

[質問:WOVEN CITYなどの構想に変化はあるか?]

豊田
新しいトヨタの未来の種まきに関しては、アクセルを踏み続けたいということでありますが、番頭であります、小林はちょっとどう思ってるか分かりませんので、この回答はですね、ちょっと小林のほうから。

小林
実はですね、この決算発表の前に、社長を含めてですね、経営陣で何度も議論をしました。

21年の3月期は5000億、リーマンのときの状態ですと赤字ですね。それをこの11年、いろいろありましたけれども、社長の指揮の下にここまできたなと。要するに、それは逆に損益分岐台数が明らかに良くなってるわけですね。

前回の反省、経験者が社長しかいませんので。(前回の)反省は、全部止めちゃったことなんですね。会社というのは、いつも申し上げてますように、持続的成長、ゴーイング・コンサーンといいますね。そういう意味では、止めてはいけないものというのは、やっぱり未来に対する開発費でありますね。それから投資であり、そういったものは普遍的にすべきであるし、するような資金を持つべきだと。

そのためにですね、リーマンのときは3兆円ぐらいしか手持ち現金がありませんでしたけれども、今は8兆円ぐらいまで上がりました。まだまだ私としてはですね、番頭としては少ないと思っております。

ですから、やっぱり企業というのは、将来に向けて、未来に向けて持続的成長をしていくことによって、世の中が、もっと豊かになるのではないのかと。これは社長の持論でございましてですね、われわれはそれに対して、今、必死になって付いていこうという中で、今ご質問にありました、スマートシティに対する投資とか試験研究費については、いささかも変えるところはございません。

[質問:昨年、トヨタの脅威のお話がありましたが今期のトヨタにとっての脅威とは?]

豊田
昨年はですね、本当に、トヨタは大丈夫だという社内意識をやりましたけれども。新しい脅威というのはですね、脅威というよりも、今、私自身は非常に落ち着いておりますし、いろんな頑張ってくださってる方、そして事技員も含めていろんな人に「ありがとう」という機会が増えたんですね。ですから、脅威というよりは、私自身の発言、行動の中で「ありがとう」と言える機会がこれからより増えていくことを期待したい。

香川

さあ、決算説明会、以上で終了。いやー、まあ、あらためてですね、トヨタイムズ編集長として、トヨタが歩んできた豊田社長の11年、これをこの決算の発表を通して、実はその数字ではなくて、トヨタが何に向かっていたのか、そしてどこに向かっていくのか。その中身をですね、ほんとにあらためて詳しく見させてもらったすごい機会だったと思います。

11年間、やっぱり社長がとても苦しい思いをしてきたことだけは事実で、その経験が、やっぱり落ち着いていると、今。そして「ありがとう」という言葉が言える自分がいると。こういうようなですね、数字の発表をしているのに、最後は心の発表をしているという。

これによってね、株が動いたりするような公式の場ですから、非常に堅苦しい、まさにスーツを着た言葉でしゃべっていらっしゃいましたけど、会見が終わった後の社長とテレワークでつながりますので、ちょっとくだけた、より本音の豊田社長らしい言い方を取材で引き出したいと思います。

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