トヨタイムズ

豊田社長の言葉をどう受け止めた?世界中のトヨタを取材

香川編集長 2020.04.19 UPDATE

INDEX

トヨタ自動車 北米本部本部長 小川哲男

映像リンク 09:22

香川

では、次は北米本部長の小川CEOにお話をうかがってみたいと思います。

小川哲男(北米本部本部長)

こんにちは。

香川

こんにちは。よろしくお願いいたします。トヨタイムズ編集長香川でございます。ちなみに小川さん、どこの都市にいらっしゃるんですか?

小川

私はテキサス州にプレイノっていう新しくできた近郊の街があって、そこに北米の本社を移して、今3年そこにいます。

香川

今、現地、何時でございますか?

小川

今は夜9時前ぐらいです。

香川

9時前、すみません、夜も。

小川

とんでもない。

香川

本当は飲んでどんちゃんやってる時間だと思うんですけど、申し訳ございません、ほんとに(笑)。

まあ状況がね。もちろん、そういう状況じゃないので、そんなことないと思いますけれども。北米自体がどういう状況になっているのかというのを教えていただきたいんですけれども。

小川

例えばニューヨーク42番街なら、あの辺はもう、人がいないなんてあり得なかったんですけども。ニューヨークにいる駐在員から写真を見せてもらうと、本当にに人がいないと。

ハグとか、握手が大好きなアメリカ人が、今は、こういう…。最初はこれ(肘)をぶつけ合ったんですね。今はそれもやってなくて、こういうモーションを空中でやるっていう、変な状態になってます。

香川

なるほど、先ほど、僕、アルゼンチンのエレーロさんとこうやって別れましたよ。そうなんですね、やっぱりこれ、はやってるんですね。

実際、こういうような状況になっていないときの活動、今緊急時になってしまったがゆえに、どれだけそれが変わってしまったかということを、ちょっとご説明いただきたいんですけれども。

小川

今、全米で工場が10、販売店も1600、700店ありますけれども、そこを軸に地域貢献をする。このことは今であっても、あるいは平時であっても変わっておりませんので。

今の段階では、実は北米の全工場は生産を止めました。我々の環境も、とていいますか、オフィスも在宅勤務、これを今、余儀なくされているといような状況です。

香川

クルマの販売状況、販売台数に関しては、どういうようなダメージを負っているんでしょうか。

小川

1月、2月、年が明けまして、絶好調でありました。3月の2週目まで、そういう意味では絶好調でした。3週目から急激に鈍りまして、前年比でいくと7割ぐらい減って。ニューヨークとかカルフォルニアは、前年比の1割ぐらいです。9割減です。

香川

うわー、そうですか。例えばこれが続いたと仮定するときに、どういうようなことがあるかっていうのは、想定されてますでしょうかね?

小川

お客様と直接コンタクトしない中で、どうケアしていくか。これを機に新しい手法にいろいろトライをしたいなと思っています。それから、我々の働き方も、今、リモートで会議とかやってますけども、これ、結構いい点もあるんですね。

香川

というのはどういうところですか?

小川

やっぱり、通常、会社にいると、雑談から始まって。あるいは発言しない人までいたりして。今回はリモートでつなぐと、主旨をはっきりさせる。この会議で何を決めるのか、はっきりさせる。発言するやつだけ集まれ、と。

香川

それは面白い。面白いですね。やっぱり、顔が画面のところにあるっていう。ここにね。それって、相対していることになるわけじゃないですか。会議だと、端っこのほうの席の人とは目が合わなくて済むし、下を向いてなんか書いてる振りしてればいいけど、これだと、逃げようがないわけですよね。

小川

ええ、逃げようがないです。おっしゃる通り。

香川

なるほど。

小川

だから、これは普通の状態に戻っても、在宅で、ワーク・フロム・ホームで学んだ一つとして、これ、続けるべきだと思います。

香川

なるほど。

小川

紙も資料も、いろいろあっても見ないわけですよ、画面で。だから、ほとんど口頭かメモ1枚ということになりますので。これは社長もずっと言ってますけどね。要らない資料はなくなります。

香川

なるほどね。これは、でも、面白いですね。ケガの中で何かを見つけるという。

トヨタとして、この緊急事態の状況だからこそ、やられてることがあると聞いたんですけれども。

小川

社長の豊田からは「深刻になるな、でも真剣にやれ」というメッセージがあって。これ、辞書で引くと、「深刻」も「真剣」も両方「シリアス」って出てくるんですね。

香川

実は、英語では。なるほど。

小川

だけど要は、コントロールできないことに悩むと「深刻」になる。これは何も生まないと。逆に、コントロールできることは、じゃあなんだ、と。コントロールできるところの中で、今できること、今やるべきことはなんだ、ということに向き合えば、これは「真剣」になる。ということで、そのメッセージの主旨を伝えて、アメリカ人も腹落ちをして、今かなりのチームがそういう中で活動してます。

例えば、一部の人が試作の設備に3Dプリンターがあるんですね。これで、お医者さんが使う、こういうフェイスを覆うマスク、フェイスシールド、あれの成型をして「足りない、足りない」と言っている病院に配ったらどうだ、と。そういうことを始めまして、次々に「俺の工場もできる」「俺の工場もできる」と、今ほとんどの工場がつくってくれています。今、1日当たり5000個弱ぐらいのフェイスシールドを、要請のある病院にお配りしている、と。こういう活動とか、あるいはディーラーもディーラーで「地域で何が貢献できるか」ということで、休校した学校の清掃に行くとか、食べ物のサービスを子どもたちにするとか、こんなようなことをやっております。

香川

そういうことをやっているんですか。

小川

1700軒のディーラーが、それぞれの地域で、それぞれにやってくれてると思いますので、たぶん、私が知らない活動もいっぱいあると思います。

香川

このフェイスシールドも、自動車に使うべき部品を一部改良してつくられているということでよろしいでしょうか?

小川

そうです。日頃の生産の技術を使ったやり方でつくっております。シカゴの病院から、お医者さんたちがガッツポーズしたような写真を送ってくれた。あのときは、みんな本当にうれしそうに抱き合ってましたので、よかったなと思います。

今、全トヨタのお客様に対して「何か困ったことがあったら、こういう窓口に連絡してくれ」ということを全部メールで展開をして、結構それに対しては答えがくるという。

香川

それこそ、クルマのこと以外での相談とかも、トヨタさんだったら聞いてくれるんじゃないか、みたいなので来そうですけどね。

小川

はい。中には、ディーラーにはクルマがあるものですから、お薬をお客様のところに配ったりとか、病院まで持って行ってということをやっている…。

香川

そうですか。トヨタの社員の人たちの、横でこういうつながりはあったりするんでしょうかね。

小川

2日、3日に1回ぐらい「今の状況はこうだよ」「今、ここでこんなことやってるよ」というようなビデオを、私を含めて、アメリカ人幹部で撮って、全従業員に流したりしています。

それから、豊田社長も「我々は家族だ」「We are Toyota」というビデオを流してくれました。そういうことで、コミュニケーションを絶やさないようなことを、今、やっております。

香川

なるほど。先ほど、小川CEOも言われました、社長からの全世界のトヨタグループへのメッセージ。どのように思われたのか、お聞かせいただきたいんですが。

小川

やっぱり、これは反響がすごかったです。みんな孤独になりかけてたときに、ボーンと来ましたので。そういう意味では「ああ、見てくれてるんだ」あるいは「We are TOYOTA、我々は家族なんだ」と、グローバルCEOからのメッセージで来たインパクトはすごく大きかったです。

香川

北米本部長としての小川CEOに、改めてトヨタグループの仲間たち、あるいは社員の方々に、励ましの言葉も含めたメッセージを送っていただきたいんですけれども。

小川

皆さん、本当に、今日はこんな、日本を代表する大俳優の香川さんにインタビューを受けるという…。

香川

とんでもございません。

小川

…中で、私自身がすごく今、元気をいただいています。今、カメラの向こうにいらっしゃる北米のトヨタの皆さん、あるいはトヨタグループの皆さん。本当に大変なときだと思います。ストレスもあります。

でもわれわれは「仕事ができる」という幸せがあります。従って、そのことを胸に留めて、コントロールできることを一つひとつやり続け、先ほど編集長がおっしゃった「止まない雨はない」わけですから、雨が止んだときにスッと立ち上がれるようにがんばりましょう。今は斧を研ぎましょう。必ず木を切るときがやってきます。

香川

ありがとうございます。僕も、今日こうしてテレビ取材をさせていただいてるんですが、リモートワークで。この仕事がこの日に日本で、そして、今テキサスにいらっしゃる小川さんと、こうやってつないで、できることを改めて感謝したいなというふうに思いました。

小川

本当にそうです。

香川

本当にありがたいです。ありがとうございます。

小川

ありがとうございます。

香川

最後の締めは「健康第一で」っていうのを…。

小川

もちろんです。

香川

では、「健康第一」っていうことでいきます。せーの!

二人

健康第一!

香川

これ、1秒ぐらいずれるんですね、難しいですね(笑)。ありがとうございました。

とにかく世界が元のようになったときに、まずは社長と昨日約束したんですけれども、ダートのコースに乗っけてくれると、クルマに。これを行こうと。

小川

それは、テレビ会議はできませんね。

香川

そうなんですよ(笑)。本当に世の中がもし戻れば、ぜひ、ダラスのほうにも行きたいと思います。

小川

もちろんです。

香川

よろしくお願いします。

小川

ありがとうございます。

香川

ありがとうございます。

RECOMMEND

豊田章男が語ったトヨタの未来とは 極秘映像を香川編集長が見た!

4年に1度開催される「トヨタ世界大会」。コロナによって世界が大きく変わった今年、豊田社長は何を語ったのか。

2020.11.23 UPDATE READ MORE

ルーキーレーシングドライバーに聞く スープラ3連勝の裏側

ROOKIE Racingのメンバーによるオンライントーク。スープラで始まった話題は、この日不在のモリゾウ選手の成長にも及んだ。

2020.11.19 UPDATE READ MORE

ノーベル化学賞・吉野彰×豊田章男 ~未来をつかむ思考~ 後編

リチウムイオン電池の発明を通じ、環境問題に向き合ってきた吉野氏。はたして、カーガイ・モリゾウと相いれるのか?

2020.04.30 UPDATE READ MORE