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編集長、努力する学園生の姿に感服【トヨタ工業学園 取材】

編集長、努力する学園生の姿に感服【トヨタ工業学園 取材】

香川編集長 2020.04.09 UPDATE

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トヨタ工業学園の学園生に話を聞き、寮生活に密着し、卒業式を見届けた香川編集長。その目に、この学園はどう映ったのだろうか。トヨタの将来を支えるであろう若者たちを取材した感想を聞いた。

こんなにすごい学校だとは思いませんでした

Q. 今回取材した感想をお聞かせください

1年前のダイジェストを見させていただいたんですよね、どっかの会場で。仕入先総会の劇場みたいなところで見させていただいて。それが、あまりにも隊列というか、規律が合っている。点呼も含めて。こんなところが日本にあるんだと思って、見てみたいと思ったのが初めてでしたね。

卒業式だけそんなことをやっているのかと思ったら、これがびっくりで。毎日、連日、朝から晩まで点呼に次ぐ点呼で、もうミリ単位で、秒単位で合わないから合わせるまでやるっていう。こんなにすごい学校だとは思いませんでした。

いやいや、ほんと張り詰めた古典の芸術を見ている感じがする。美術館にいるような感じというか。特に、校旗をホルダーに納めるときの、旗手の方が並んでくる、四拍子の「タンタンタン・タン、タンタン…」。こんなのもう歌舞伎だもん、本当に。あれを一糸乱れずやって、それでカチーンとなるのとか、気持ちいいよね、見てて。

人が気持ちいいということは、やっぱり死ぬほど努力しているんだよね。見せている方は。白鳥が泳いでいるとき、一番つらい姿勢で下は掻いてて、上は美しいっていうのと一緒で。それを彼らは当たり前のようにやっている。それは人間力になりますよ。何かには通用するよね。「何やっても駄目だな、お前」とは絶対ならない。

例えば、彼らがオリエンテーションで課せられている登山だったりとか、何キロ走だったりとか。そういうものに似たことを、僕は撮影現場で幸運なことにいっぱい鬼の監督と出会えたから、俳優の中では割とそういう鍛錬をさせてもらってきたけれど、だからこそできたことがあるんですよね。確かに。

それを高校時代にまとめてここでやって、全員が食いしばっていく、やる、達成する、っていうのは、やっぱりすごく忍耐力をつけるし。「つらいことの方が当たり前」「つらい方が面白い」という精神構造の逆転が起きてくるんだよね、大体。

それは普通大人になってから経験することで、子ども時代は、もっと与えることなく「ちょうだい、ちょうだい」で餌をもらっているのが10代の当たり前の姿なんだけど、それを先取りして大人でやらされているっていうのは、目標があるからですよね。学校で終わりじゃないから。トヨタの社員として、ひとかどの社員、人間になっていくところまでがゴールで目指しているから、まだ思考停止をしている場合じゃないというか。どこかで、なんかこう「まだまだ!」っていう。だからシステムはいいんだと思うんですよね。

トヨタありきだから。トヨタ工業学園は、その手段であって。ただそうであっても全力でやるという、一番いい回路なんですよね、それって。まだ手段だけど「力をためて、ちょっと加減しよう」と思っているやつは1人もいないから。なんか、そういうことなのかなとは思いますけどね。

全員を「人間力のある人」にするシステムがすごい

Q. この学園出身者である河合副社長について

そうですね。社長がやっぱり「トヨタ工業学園の出身者がエリートである」と。エリートっていうと、なんかこうサラブレッド的なイメージがあるけど、エリートって本来、「選ばれる」っていうことだからね、訳せば。やっぱり、選ばれている人なんだと思うんですよ。

選ばれし者だと思うし、彼らこそがやっぱり持っている力はあるだろうし。副社長のお人柄を見ても分かるけど「大いなる善意は、すべての悪意に勝つ」っていう感じがするからね。そういう、とても希望のある人間の精神的な構造の類型を見るような気がしましたね。

「人が大事」っていう、「しょせん人間の力」「人間力ですよ」「人と人との出会いですよ」「人ですよね」っていうのって、「(実際は)そうじゃない」ということが前提になっているわけですよ。つまり、そんな人には滅多に出会えませんと。「おっ、この人いいな!」っていう人に出会う確率が少ないから、ある言葉だと思うんですよね。

やっぱり人間って大切だよね。昨日も、おとといも、さきおとといも出会った人は全部違ったけど、なんか駄目だったけど、今日会った人はすごいな。やっぱり人間だなっていう。そういう確率的に低いから「人間の力」だって言っているのだとすると、ここの学校はほぼ100パーセントなんですよ、そういう人が。だから不思議なんだよね。

たぶん、その差がないんです。そこの点が高いっていうか。みんな人間力があるんですよね。それを、ほぼ100パーセントに押し上げているシステムがすごいんだと思う。それが全員トヨタに行って、全員命がけでやっているわけだから、それは何かを残しますよね。

あの中から1人「これだけは使えるな」とかいうことじゃないと思うんだよね。それぞれがいろんな場所で、ほぼほぼすごい活躍をするという。他の現場に行ったら「君、なかなかいいね。採用しよう」って言われるような人たちを、もうつくっちゃってるんだよね。たまたま集まっているからさ。それをたまたま集めてつくっちゃっているのが、ここの学園の奇跡ですよ、それは。

あれをやりきっているのは感服ですよ

Q. 今回の取材では批判が出ませんでしたが?

批判?あー、出ないね。あんだけのことをやられたら。やってるもん、だって。恐縮よ、恐縮。まあ、100歩譲ってその方向性が合っているかどうかっていうスペースはあるかもしれないよ。それこそ「軍隊チック」だとか「そういうのは今の日本にはそぐわないからやめた方がいい」みたいな意見を言おうと思ったら言えるかもしれないけど、僕は、まったくそう思わない方のタイプだし。

いやあ、よくやる。あれがどうきついか分かってるもん。僕も中国での軍事訓練したりとか、1日9時間山登りとかさせられたりしたけど、大人になってからできているわけであって、やっぱり16、17、18歳ぐらいのグニャグニャした段階でね。あれをやり切っているっていうことに対しては感服ですよ。それは批判は出ないなあ。うん…、批判は出ない。

あと、これはずっと思っていたけど、本当に太っている子がいない。これ一番ですよ。なぜかって言うと、声を出すことなんだよね。声を出すことって一番、実はダイエット…、ダイエットっていうのはおかしいけど、太らないんだよね。呼吸だから、一番。吸って出す、吸って出すって一日中やっているから。

我々も有酸素運動をしていて、これだけ声を出したらそりゃ太らないわなって。そう。あれだけ出すっていうことは、あれだけ吸うっていうことだから、絶対太らない。痩せたい人は、ほんと毎日叫んでください。僕は、これを強く言う。いっぱい食べて、とにかく叫ぶ。腹から声を出す。絶対太らない。ね、トヨタイムズ番外編。ダイエット編。

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