2019.11.25

トヨタが日本橋で自動運転を開発する理由とは?

東京・日本橋にあるTRI-ADは、シリコンバレーのTRI、東富士研究所とともに、トヨタの自動運転の開発拠点となっている。その役割は、最先端の研究を製品化につなげること。首都高で近い将来発売する実験車両に試乗した香川編集長は、自動運転の今後について、最高経営責任者ジェームス・カフナー氏にインタビューした。

完成品の提供が目標

香川

よろしくお願いします。

カフナー

よろしくお願いします。

香川

初めて首都高で自動運転に乗るという素晴らしい体験をして、感想は、まず安心して乗ったということ。何も心配することがないと思ったこと。これはとっても大きいと思います。

技術的なことを言わせてもらえれば、横にもう1人ドライバーがいて、そのドライバーと、本当にドライビングをされているドライバーさんが、共に運転を協力しながらやっているという。それ以外の感想はないぐらい、同じ立場で2人のドライバーがドライブしてるのが、自動運転だなという体感を持ちました。

カフナー

ありがとうございます。「Teammate Technology(チームメイト・テクノロジー)」は安心と安全を感じながら運転をサポートする技術です。この技術の完成がトヨタの目標です。プロトタイプをつくるだけではなく、完成品の提供を目指しています。

香川

ずばり自動運転は何年後にメジャーになりますか?

カフナー

自動運転の技術は、すでに存在します。問題は、どのような条件下でこの技術が使われるかでということで、天候が良く、交通状況が良い条件下であればレベル4は今でも可能ですが、実際はあらゆる条件下で運転することを前提としなければなりません。

2種類の自動運転車が出てくる

香川

今レベルの話が出ましたけれども、レベル4、これが東富士で乗ったやつだと思うんですね。そしてレベル2が今日乗ったやつだとすれば、やっぱりレベル2という、人が機械と同じぐらいの割合で関わりあうものが、実は自動運転の一番いい落とし所なのではないかと思ったんですね。将来TRI-ADが主導する自動運転っていうのは、どういうような方向性にいくと思っていますか?

カフナー

将来、2種類の製品が出てくると思います。1つは個人所有の自動運転車。もう1つは無人タクシーです。おそらく無人タクシーの方が早く導入されるでしょう。条件が整った道路で低速走行のサービスから開始して、徐々に規模を拡大していくと思います。

香川

無人タクシーっていうのは、それこそトヨタがいう「モビリティーカンパニー」が大きく前進する瞬間なんじゃないかと思ったんですけど。

カフナー

これからも個人のクルマは「Fun To Drive」を提供するものだと思います。私は運転は好きですが、通勤のときの運転はあまり好きではありません。たぶん多くの人がそうですよね。

だからこそ、テクノロジーによって選択肢を生み出すのです。ドライブが好きな方には、安全に運転できるクルマを。一方、年配の方や体調が良くない方にも移動手段がある。素晴らしいコンセプトだと思います。

香川

その自動運転と「Fun To Drive」っていうのは、延長線上にあるもの、共有できるものがあるという風に思ってよろしいでしょうか?

カフナー

トヨタの取り組みのユニークな点は、ドライバーとAIが助け合うことだと思います。『Teammate Technology』も『判断、注視、運転を楽しむ』など人が強みを持つ部分については人に依存し、精度の高さ・安全性についてはAIというように互いにサポートすることで成立します。
運転をしたくない、運転中に違うことをしたい、という場合についても選択肢を増やせるでしょう。ただしばらくは、人間とシステムが互いにサポートする関係性が続きます。

多くの人は、AI技術の進歩により人間らしさが失われるのではないかと恐れていますが、テクノロジーがパートナーでありチームメイトなら、人、コンピューター、そしてAIがチームとしてより良い未来を作っていけると信じています。

東京でできれば、世界中で成功できる

香川

ずっと自動運転を見させてもらってきましたけど、自動運転が将来的にどうなっていくのか、すごく興味があります。自動運転というものの先にあるものは、どういったものなのでしょうか?

カフナー

新しい移動手段を考えるとき、人の移動やサポートについて考えます。現在の都市は従来のクルマに合わせたデザインですが、新たな技術によって変わる将来の都市を、トヨタとしても、追求、模索をしているところです。自動運転や安全が、今後人々の生活をサポートできるか?幸せで健康的に暮らせるようにできるか?どのような変化をもたらすのか?ということに関心があります。

香川

TRIではなくTRI-ADで、この東京で、ずっと開発をされている。この東京という街、狭くて道路も曲がっているこの道で、その開発を続けているメリットというのはあるんでしょうか?

カフナー

東京は郊外も含めて世界最大の都市です。そのような都市でモビリティを開発していくことは我々にとってチャレンジです
何百万という人たちが日々働き、家族を支えながら暮らしています。東京で未来の暮らしに繋がる技術を開発出来れば、どこででも成功できると思います。私たちがシリコンバレーと日本の”架け橋”となり、シリコンバレーと日本のチームが協力し合うのです。この”日本橋”という歴史的な中心地でね。

香川

すべての道はローマに通ずじゃなくて、今やすべての道は東京に通ずになったね。しかもこの日本橋ってのは観測のゼロ地点だから。東京のど真ん中だから、日本橋にいる意味があるわけですね。

カフナー

That’s right. Yes.

香川

日本橋からトヨタの革命が始まるわけだな。

カフナー

とてもワクワクしています。