2019.07.12

えっ、トヨタは田んぼも作ってるの?

2019年4月に一部の運用が開始された新たな研究開発施設「トヨタテクニカルセンター下山」は愛知県豊田市と岡崎市にまたがる山の中に作られている。約650ヘクタールという広大な敷地を切り拓いて作られるだけに、環境への影響も気になるところ。山の森やそこに住む生き物たちは、すみかを追われてしまうのか。そして香川編集長が心から愛する昆虫たちは、いなくなってしまうのだろうか。

実はトヨタは施設の建設と並行して、自然環境の保全にも取り組んでいる。敷地面積の約7割で土地本来の森林を残すことに加え、新たな緑地造成も行うなどして、地元自治体や地域住民とともに森林や里山環境を維持・管理していくという。

里山の自然がどのように保全されているのか。それを自分の目で確かめるべく、香川編集長はコースを飛び出し、周辺の森や田んぼを見て回った。案内してくれたのはトヨタの開発支援部 矢矧やはぎ雅彦氏だ

残された自然をいかにレベルアップするか

香川

山野を切り拓いてる様を見ると、環境への影響っていうのが、僕は絶対あると思うんですよ。そこらへんに対してトヨタはどういう姿勢でいるのか、ちょっと聞いてみたいなと思うんですけど。

案内してくれたのはトヨタの開発支援部 矢矧雅彦氏だ
香川

はじめまして。トヨタイムズ編集長の香川でございます。

矢矧

矢矧です。よろしくお願いします。

香川

かつて山だったところを、バンバンこう切り崩して、そこに道を作っているという様を見ると、やっぱり環境、地球、それから森、自然、こういったものを壊してるんじゃないかという側面は否定できないと思うんですね。それに対して、トヨタさんはどのような姿勢を持っているのかというのを聞かせていただければ、と。

矢矧

まず、残された自然をいかにレベルアップするかということで、このままほかっておくと荒廃していくような自然環境に手を入れまして、環境のポテンシャルを上げようという活動を実施しております。

在来種で自然環境をそのまま、もう一回再生するということでやっております
香川

これは何なんでしょう?

矢矧

これはですね、この地域で採りました種子を育てまして、しっかりと育てたものを、切り拓いたところの山の斜面のとこに植えまして、在来種で自然環境をそのまま、もう一回再生するということでやっております。

香川

そこにあった木をもう一度戻していると。

矢矧

はい。

香川

切って捨てるんではなくて、そこにあった木の苗をもう一回植えて、本来ここが好きで生えてた子たちを育ててると。

矢矧

そうです。「外から持ち込まない」ということをひとつのコンセプトとしてやっております。

香川

なるほど。そのまま保存してるわけですね。

トヨタは田んぼも作る
矢矧

環境でいきますと、例えばこの先に田んぼがございますけども、水田環境をしっかり維持することによって、例えば野生の動物の餌場だとかをしっかりと確保していく、ということをやっています。

香川

田んぼを作ってるんですか?

矢矧

そうですね、はい。

香川

田んぼを作ってる。トヨタは田んぼも作るんですよ!

これも自動車の開発のため
香川

うわー、これがその、守っていらっしゃる田んぼですよね?

矢矧

はい。環境を守っていると。

香川

うわーもう思いっきり田んぼじゃないですか。

矢矧

はい。

香川

こういう水場がないとね、僕がトンボだったら悲しむわけなんですよ。

矢矧

おっしゃる通りです(笑)。

香川

ほんとに。僕がトンボだったら、ここ食いつきますね。

矢矧

そのための湿地環境をここで、しっかり守っています。

その1台のために田んぼを守っている

香川

まあ壊すのは簡単ですけどね。こういうのを守り続けていきながら…。これも自動車の開発のためなわけですよね?

矢矧

はい。つながっております。

香川

つながってますよね。その1台を作るために、この田んぼを守ってると。

矢矧

はい。

香川

世界はつながっている。

コースのすぐ裏に田んぼがある
香川

今どこにいるんですか?

佐々木

ちょうど今いるのはこの辺なんですよね。

香川

あー、ここ。

矢矧

そこの角を曲がると。

香川

もう見えるわけですね!

矢矧

はい、30m上にコースが見えます。

香川

ほー。ニュルもコースのすぐ裏が森だったけど、コースのすぐ裏に田んぼがあって、それを保全してるってのが日本ならではだね。田んぼの方がやっぱり森よりも数段難しいわけじゃないですか、守っていくのが。その意味ではまあ大変なお金がかかるわけですよね。人材と。

矢矧

そうですね。人材が特に。実はですね、地域の方に協力していただいて、作業を実施していただいております。

香川

その方たちも説明して、「こうこうこういう意図があるんで、やってください」っていって、「分かりました」ということをやってらっしゃるわけですよね。

この環境を、世代を超えてつないでいく

香川

これ、ずっと保全し続けなきゃいけないわけでしょ?

矢矧

はい。長期の計画ももうすでに立てておりますね。

香川

何年ぐらい先まで立ってるんですか?

矢矧

15年サイクルで回すような計画を持っていたり、あとは有識者の先生方にご意見を伺いながら、少しずつ修正をかけたりということで進めております。

香川

それはもう世代を超えた継続ですね。結局自分で終わりではなくて、部下だったり、あるいは子孫だったりにつないでいって、全部が構成されるっていう世界だもんね。

矢矧

はい。

香川

ちょっとこれを目の当たりにすると、そのギャップがね。

矢矧

ギャップが(笑)。

香川

さっきのGがかかったところはなんだったんだろうって。グワーって運転して助手席に乗ってた瞬間から、これですからねー。

こっちにもこういうような。

矢矧

こちらは湿地環境ということで、もと田んぼのところを、ほんとの湿地として保持しているところです。

香川

この湿地はいいなあ。この湿地はいろいろいるぞ、これ。タガメがいるぞ、これ。今すぐにでも入っていきたいなあ。