ヤリス欧州COTY受賞 ヤリスの受賞は欧州でどう受け止められたのか
ヤリスの欧州COTY受賞は、欧州でどう受け止められているのか。反響を探るべく、森田記者が現地で事業や生産、販売に携わる3名に取材した。
レーシングドライバーといえば、常にアクセル全開、ギリギリのブレーキングで、街乗りのドライバーにとっては縁遠い運転をしているようなイメージだ。当然サーキットを走らせるクルマも、一般道を走るクルマとはまったく違うように感じる。
ところがレーシングドライバーは、レーシングカーのセットアップと一般道を走るクルマづくりは、突き詰めれば同じことだという。一体どういうことなのか。ニュルブルクリンクのレースを戦う石浦宏明、大嶋和也、蒲生尚弥の3名のプロドライバーに、香川編集長が聞いた。
ここのコースとほかのコースはどう違うんですか。
コースの長さもそうなんですけど、具体的にはアップダウンがすごく多くて。そういうサーキットはあまり日本にはないんです。高低差がすごいあるっていうのが、やっぱり特徴かなと思いますね。
ここを走ると、もう世界中の道が再現されているような。いろいろ乗り上げて走ったりジャンプしたり、とんでもなくクルマに負荷がかかるんですね。
僕らもここで、クルマに問題を出さないようにそっと走ったら意味がないんです。
なるほど。
だからもう、縁石も乗り上げるし、ジャンプもするし。
だからレースでやる意味があるってことなんですね。それは面白いな。
そうですね。レースでやらないと、ゆっくり走っちゃうんですね。
そういうことですよね。
はい。限界だから出る課題。
限界の中で「安全とは何か」をつかむのがニュルブルクリンクだと。
そうです。
トヨタは社員がメカニックになってる。普通は、プロのメカニックの方にアテンドしてもらいながらレースをするわけじゃないですか。その違いっていうのはどう感じられますか。
社員のメカニックの人たちって、確実に仕事をするっていうことが最優先で、速くするっていうことは、あまり重要視されてない。レースの世界では、やっぱりタイム、時間がすごく大事なので、その辺の感覚の違いはあります。
TOYOTA GAZOO Racingのチームは、少しでも問題点があったら完璧に直すまでコースに出さないです。そこがこのプロジェクトの求めてるところだし。完璧に直して、課題をつぶして、コースにもう1回送り出すっていう。なので、レース中にトラブルが出ることはあるんですけど、ほかのチームだったら結果を優先して「もうこれぐらいで出しちゃおう」っていうのもあるかもしれないですけど、僕らはしっかり直して、クルマが次どう良くなってるかっていうほうが大事なんです。
一言でいいクルマっていうと?
もちろん運転してて楽しいクルマが好きなんですけども、一番僕が重視してるのは、自分の操作に対してクルマの動きを予測できるクルマ。
レースも極限で走ってるので、「このクルマの癖はこうだから、こうやって走らなきゃいけない」って考えながらでは24時間走れないんですよね。
ハンドルを切ったときに、素直にクルマが反応してくれるか、とか。そこにタイムラグがあったりするとすごく怖くて。
僕らもレースでは、ミリ単位でいっぱいセッティングをするんですけど、何のためにセッティングするかといったら「自分の感覚と合うクルマ」をつくるためなんです。
レースの活動と、こういうクルマづくりっていうのは、結局突き詰めれば同じことをやってると思うんですね。誰が乗っても感覚と合うクルマ。
レーサーの方を通じて、最大公約数の感覚をつかんでいくっていうことなんだね。
そうですね。限界のところで走って感覚が合うクルマって、5割のところで走ってもちゃんと合うと思うんですよ。
ただ5割のところで合うクルマが限界のところで合うかっていうと、それは難しいんですよね。なのでここで走って、限界域でしっかり合う状態から落とし込んでいくっていうのが必要かなと思います。
面白い話だね。
ニュルブルクリンクが一般道の極限形であって、レーサーの方のドライビングテクニックって一般のドライバーの方の極限形なんですよね。でも極限形ってことは、大は小を兼ねていて、そのおおもとになっている普通の、一見なんでもないってことも中に含んでいるんだなと。対極にあるんではなくて中に含んでいるんだなと、このレースの体験を含めて新たにした感覚だったかな。
お疲れのところ、ありがとうございました。柔らかい手してんだね。こんなんでハンドル握ってるんだ。
はい。
いやー不思議なもんだな。
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